こんにちは、きなこぬこです。
今は東野圭吾先生の「ガリレオの苦悩」を読んだ感想・考察についてまとめていきます。
今作はガリレオシリーズ第4作目です!タイトル通り、彼が警察の捜査に協力する中での湯川の苦悩が垣間見えるお話が収録されていました。
同シリーズの9作目「沈黙のパレード」は「容疑者xの献身」、「真夏の方程式」と同じく湯川学役:福山雅治さんで、前作から9年ぶりに映画化されました!
引用元:【主題歌KOH+】『沈黙のパレード』予告<9月16日(金)公開>【最新映像】
あらすじ
落下る(おちる)
マンションから転落し死亡した女性の恋人である容疑者は転落時の様子をマンションの下から見ていた。若手女性刑事内海はその場にいなくても死体をベランダから落とす方法を突きとめるために、今までにも数々の難事件を解決してきた物理学者湯川の元を訪ねるが、非協力的な湯川に断られてしまう。
操縦る(あやつる)
元教授の湯川の恩師である友永は、湯川を含めた数人の親しい教え子たちを自宅に招き会食を開いていた。そんな中、友永の放蕩息子の邦宏がいた離れが突然爆発する事件が起こる。
密室る(とじる)
湯川の学生時代の友人である藤村が経営しているペンションに宿泊していた客が、近くの橋から転落死してしまう。藤村は客の宿泊していた部屋の事故当日の様子に違和感を感じ、湯川を招いて謎を解くことを依頼する。
指標る(しめす)
強盗殺人事件で行方不明となっていた犬の死体を発見したのは、容疑者の娘だった。彼女はダウジングで犬の居場所を突き止めたと話すが……
攪乱る(みだす)
自称”悪魔の手を持つ者”から、警視庁と湯川の元に挑戦状が届く。そこには事故にしかみえない事件を起こすと予告されいて、文面から明らかに湯川のことを敵対視していることがわかる。そして、犯人の宣戦布告通り実際に事件が発生してしまう。
以下はネタバレを含みます。(前作「容疑者xの献身」のネタバレも一部含みます)
感想
相変わらず素敵なキャラクターですね!湯川教授!ツンデレっぽいところがドストライクです笑
特に1作目の落下る(おちる)では一度捜査に協力しないと断りながらも、わざわざ現場になったマンションまで出向き様子見て、やっぱり捜査に協力するという笑 かわいすぎる!
ちなみに、今作はシリーズの流れの転換期になっているように感じました。
というのはも、以下の考察で挙げている①犯人や湯川の心情を描いた場面が増えた、②ワトソン役が交代したことの2点がこれまでの流れから大きく変化したからです!
ガリレオシリーズが他のミステリーと比較した時に突出しているのが物理学でトリックを解き明かしていくおもしろさだと私は思っています。理解できなくても面白いという不思議な世界に毎回連れて行ってくれますよね笑 もちろん、そのハウダニットを楽しむおもしろさも残したまま、事件に関連した人物たちの思いや湯川の心情を描き出す場面が今までよりも増えたことで、さらに物語の深みが増したように感じました!
考察
「容疑者xの献身」のアンサー
今まで科学を犯罪に利用する人間は許すまじ!というスタンスで捜査に協力してきた湯川ですが、前作「容疑者xの献身」の事件では尊敬していた唯一無二の友人である石神の思いを、自身が捜査にかかわることにより踏みにじってしまったと感じていたのでしょうか……今作の冒頭まで少しの間警察から距離を置いていた様子です。確かにあのラストはやるせないですし、湯川にとってもショックだったことでしょう。
それを踏まえた上で今作に収録されている2作目の「操縦る(あやつる)」を見てみましょう!
今回も湯川は自身と関わりの深い人物、大学の恩師である友永の犯した罪に気づいてしまいます。そして、その思いも悟ります。ここまでは石神の時と変わりませんが、ここからが前作と異なります。
今作では湯川は友永の罪を暴いた上で友永の思いを尊重し、心を救ったのです!事件を解決し真実を明るみにするだけではなく、心のフォローもできるようになっているのです!
そんな湯川に対して友永は「君は変わったな。昔は科学にしか興味がなかったはずなのに、一体いつの間に、人の心がわかるようになった」と言い、これに対して湯川は、
「人の心も科学です。とてつもなく奥深い」
と答えています。
これまで湯川は事件のハウダニットにしか興味を示さない姿勢を貫いていました。しかし、石神の事件から湯川はたくさん悩んだのではないでしょうか。だからこそ、石神の事件とは違い、犯罪を明らかにしつつも恩師の心も救うことができたのでしょう。
”人の心”を”科学”と呼んだことから、人の心を自身の専門分野と同じく興味の対象として見るようにしたみたいですね。事象を解決するだけではなくその背景まで考えることで事件に関わった人物を救うことに成功しています。
前作をきっかけにして心境が変化して人の心を考えるようになった湯川の姿が描かれており、本作のタイトルが示すようにそのせいで「苦悩」する様子がみられますね!笑
他の収録作品でも人の心を推し量ろうとする努力する姿が描かれています!
「密室る(とじる)」では、依頼者の藤村の様子から事情を察して行動します。また「指標る(しめす)」では、ダウジングが実在するか否かを論点にせず、「彼女は振り子によって、自分自身の心と対話している」と話し、実験を行いませんでした。
湯川は天才物理学者という元々非常に魅力的なキャラクターではありますが、ただただ頭が良い遠い存在であるだけではなく作品が進むにつれて悩みながらも少しずつ成長していくので、読者に親近感を与えてくれますね!
ワトソン役の交代
今作のシリーズ内での大きな変化として、ワトソン役の交代が挙げられます。
今までは湯川の旧友である草薙刑事が案内人でしたが、今作からは若手女性刑事内海薫に選手交代しています。草薙との男の友情も素敵でしたが、草薙は科学が苦手なのであまり深く追求してくれません笑 しかし、内海はフレッシュさがあることに加えて自分で実験を試みる姿が描かれており、草薙よりも科学に対して積極的に向き合おうとしているように感じました。嫌みがなくてかわいらしい人物ですね!
旧友同士の親しい関係も面白かったですが、付き合いの浅い内海だからこそ引き出せる湯川の魅力もあるのでしょうね!
そして、このシリーズをここまで読んでいる読者は科学に対してアレルギーがあるわけではないと思うので、より積極的に科学的アプローチを求める内海の方が読者の私たちの立場に近いかもしれませんね!
まとめ
いかがでしたか?今回は東野圭吾先生の「ガリレオの苦悩」についてまとめさせていただきました。
最後まで読んでいただいてありがとうございました!
コメント
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