ガリレオシリーズ8作目!ラストの湯川の行動について考察してみた!科学に対する誠意に驚かされる!「禁断の魔術」東野圭吾先生 ※ネタバレ注意

こんにちは、きなこぬこです。

今回は東野圭吾先生の「禁断の魔術」を読んだ感想・考察についてまとめていきます。

今作はガリレオシリーズ8作目ですね!

特設サイトがあるので、良かったらこちらもチェックしてみてください!

特設サイトで東野先生がアイデアを出すのにかなり難航したとコメントしています。しかも、「ガリレオのことはしばらく考えたくありません」とまで言っており、次作の「沈黙のパレード」が刊行されるまでになんと6年もかかっています!終わらなくて良かった……

あらすじ

自宅で殺害されていたフリーライターの長岡修は、大御所議員である大賀仁策が地元で推し進めるスーパー・テクノポリス計画の反対運動に参加していた。しかし、上からの圧力により大賀について調べることができなくなってしまう。捜査線上に浮かんできた町工場で働く青年、古芝伸吾の姉は一年前に亡くなっており、調べを進めていくとその裏には大賀の関わりがある可能性が出てきた。高校時代の古芝に科学を教えていた湯川は、古芝の企てているとある計画に気付いて、それを阻止するために動き始める。

単行本

文庫本

以下はネタバレを含みます。

感想

もし古芝が撃てと言ったら絶対撃っていたであろう湯川危うく殺人犯になってしまうところでした笑 でもこの行動には彼の科学を教えることへの責任と、並々ならぬ科学への誠意が感じられましたね。詳しくは考察で書いていこうと思います。

一年かけて着実に準備を進め、試行錯誤を繰り返してきた古芝の気持ちを考えると成功してほしいようなしてほしくないような……という気分でしたが、湯川の予想外の展開や古芝の父の言葉のおかげで踏みとどまることは出来て本当に良かったです。警察を欺くことには大成功していたので湯川がいなければ確実に実行でいていたでしょうね笑

古芝の姉が亡くなった時の大賀仁策の回想がありましたが、この話のせいでここまでの大賀からガラリと印象が変わりましたね!周囲の人に言われたからとはいえ大賀が古芝の姉を見殺しにした罪があることに違いはないのですが、彼が自分の罪を自覚して苦しみ、古芝に撃ち殺されても仕方がないと覚悟を持っていたことを知ったことで、彼が完全な悪人とは思えなくなってしまいました……

大賀も「大賀仁策というチーム」の一人でしかなく、縛り付けられていたというのには悲しくなりました。もちろん、周りの人になんと言われようと最終的に見捨てることを決断した大賀の行動は褒められたものではありませんが、古芝姉のことを大切に思っていたというのも心象を良くしてくれました。古芝姉が応援してくれたST計画だったからこそ、尚更成功させたかったのかもしれませんね。

大切な姉を失ったことで絶望の淵にいた古芝でしたが、今回の事件が終わったことで復讐という目的を手放し、町工場の人たちや由里奈、そして湯川のように、姉以外にも自分のことを大事に思ってくれる存在に気付くことができていたら良いなぁと思いました。彼は人望のある素敵な人物だと思うのです。あそこまで湯川の信頼を得ることのできる人物はなかなかいませんしね笑

考察

感想でも少し触れたのですが、ラストの湯川の衝撃的な行動の裏には、彼の科学を教えることへの責任感と並々ならぬ科学への敬意が含まれていました。

「一年近くも準備してきたんだろ。警察に捕まることも覚悟の上だったんだろ。だったら、何を躊躇う必要がある。私のことなら気にするな。これもまた自業自得だ。教え子に正しく科学を教えてやれなかったことに対する罰だ」

警察は古芝の乗っていたバンに載せられたダミーのレールガンを見つけて満足していましたが、湯川はそれをダミーと見抜き誰にも告げずに一人で古芝の犯行を止めようと動きます。これまで懇意にしていた草薙や内海を欺こうとしてまでです。そして、見事に犯行前の古芝を見つけ出してレールガンの制御権を奪いますが、古芝が合図を出せば自分が発射のボタンを押すと言います。

上記に書いた言葉で、古芝が科学技術を利用して人を傷つけようとするのは湯川の教え方が悪かったからであり、もし古芝が発射の合図を出したことでレールガンを湯川が撃ち罪に問われたとしてもそれ相応の罰だと言っています。

……しかし、この言葉は本当にそれだけの意味で言われた言葉なのでしょうか?

古芝は科学者である父のことを心から尊敬していました。湯川がラストの場面で古芝の父の論文の一部を彼に伝えるのですが、それが以下の文章です。

いかなることがあっても、科学技術によって人間を傷つけたり、生命を脅かしたりすることは許されない。私は科学を志す者として、過去の過ちを正したい。

地雷撤去の機械を作る会社に勤めていた古芝の父ですが、その前にはアメリカの会社で地雷を作っていました。なので、「過去の過ちを正したい」という文章は、一見これまで人間が歴史の中で繰り返してきた、科学の悪用や地雷を作り出したという過ちを正すことを望む、というように取れますが、実際は自分が過去の地雷を作っていたという過ちに対する懺悔なのでした。

そして、町工場へと古芝を尋ねて言った湯川も科学について「邪悪な人の手にかかれば禁断の魔術となる。科学者は常にそのことを忘れてはならない」と古芝に伝えています。

古芝が尊敬していた二人の人物、古芝の父と湯川は、科学に対して同じような考えを持っていたのです。

以上のことから、湯川は上の言葉を古芝に伝えることで、古芝の中にある大賀に対する殺意と、湯川が教えた科学を愛し敬意を払う気持ちを天秤にかけさせたのです。そして、その結果として科学に対する思いや湯川と古芝父に対する敬意を上回る殺意を古芝が持っているのなら、科学者として科学に対して払うべき敬意という安全装置を弟子に伝えられず、古芝を犯罪者にするための手段を与えてしまった湯川自身も科学に対する敬意が足りなかったとして古芝と共に罪を背負うと覚悟を決めていたのではないでしょうか。

結果的には撃つことはありませんでしたが、古芝が合図を出せば湯川は間違いなく撃ったのでしょう。このように考えると湯川の行動の意味を少し理解できるような気がしますね!

まとめ

いかがでしたか?今回は東野圭吾先生の「禁断の魔術」についてまとめさせていただきました。

最後まで読んでいただいてありがとうございました!

単行本

文庫本

ガリレオシリーズの他の作品はこちら!

3作目 「容疑者xの献身」

4作目 「ガリレオの苦悩」

5作目 「聖女の救済」

6作目 「真夏の方程式」

7作目 「虚像の道化師」

9作目 「沈黙のパレード」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。