ガリレオシリーズ7作目!7作収録の短編集!タイトルの意味を考察してみた!「虚像の道化師」東野圭吾先生 ※ネタバレ注意

こんにちは、きなこぬこです。

今回は東野圭吾先生の「虚像の道化師」を読んだ感想・考察についてまとめていきます。

今作はガリレオシリーズ7作目ですね!4作目以来の久しぶりの短編集です!

特設サイトがあるので、良かったらこちらもチェックしてみてください!発売時には短編タイトルの読み方を当てるクイズを開催していたようです笑 難しかったでしょうが……二名だけ全問正解した人がいたみたいですね!すごいです笑

あらすじ

幻惑す(まどわす)

新興宗教団体「クアイの会」で男が窓から飛び降りる事件が発生し、教祖が指一本触れることなく念を送って殺したと 出頭した。内部の人間だけでなく、その場に偶然居合わせた記者も、教祖が念を送ることで男が苦しんで窓から飛び降りた現場を見ていた。草薙に相談されたものの興味を持たない湯川だったが……

透視す(みとおす)

湯川が草薙に連れられて行った店で、名刺を透視するホステス、アイと出会う。数か月後、荒川沿いで彼女の死体が発見された。何故彼女は殺されたのか。そして、彼女の透視能力は本物だったのか。湯川と草薙は彼女の透視のタネを考える。

心聴る(きこえる)

体調を崩して病院に来ていた草薙は、病院で暴れだした患者を捕らえたものの腹部を刺されてしまい入院することになる。犯人の加山が務める会社では、約二か月前にも不可解な自殺を遂げた人物がいた。二つの事件に関連があると考えた草薙は、内海と所轄にいる同僚の北原に、湯川の元に相談に行くように依頼する。

曲球る(まがる)

戦力外通告を受けたプロ野球選手の柳沢は、妻が殺害された事件をきっかけに草薙と出会う。草薙の伝手でバドミントンの論文を書いていた湯川と会い、科学的にフォームやボールの動きを解析してもらいながら、最盛期の鋭い投球を取り戻す努力をする柳沢だったが、亡くなった妻との約束が心に引っかかっていた。

念波る(おくる)

双子の片割れである若菜に何かあったと感じた春菜は、若菜の安否を確認するために彼女の夫に連絡する。急いで帰宅した夫が見つけたのは、頭から血を流して倒れている若菜だった。幼少期からお互いに通じている感覚があった彼女たちに興味を持った湯川は、春菜に頼んでテレパシーの研究を始める。

偽装う(よそおう)

大学時代の友人の結婚式に参加するために地方のホテルにやってきた湯川と草薙。しかし、悪天候の影響で土砂崩れが起き、帰路が塞がれてしまう。その上近隣の別荘地で殺人事件が起こり、結婚式に参加していた地元の署長に頼み込まれて、草薙も現場の確認に向かうことになってしまう。

演技る(えんじる)

脚本家として活躍する男が自殺で殺害された。凶器は彼が所属する劇団「青狐」で使用されていた小道具である本物のナイフであった。被害者の携帯には何名かに電話をかけた記録と、殺害された日の開催されていた花火大会の写真が残されていた。捜査を進めていくと、被害者と半年前に別れた劇団員の神原が容疑者として浮上する。

単行本

文庫本

以下はネタバレを含みます。

感想

ガリレオシリーズは長編も面白いですが、短編集も安定した面白さがありますね!長編ではキャラクターたちの心理描写や、犯人の動機、背景が丁寧に描かれていて、深みがあって考えさせられるミステリーになっていますが、短編では湯川がその知識で事件の真相を明らかにしていく展開がテンポ良く楽しめますよね!長編が続いていてキャラクターたちの掘り下げもされていたので、今まで以上に登場人物たちに思い入れを持って読んでいました。個人的な意見ですが、短編の方がハウダニットに重きを置いたガリレオシリーズっぽいなって感じがします笑

今回一番お気に入りのお話は、曲球る(まがる)でしょうか。事件自体は単純な事件でしたが、途中亡くなった奥様が不倫をしていたのでは……?と雲行きが怪しくなったものの、最終的には不倫とは正反対で、夫のことを支える決意を持って行動していたという真実が分かった時には、なんて素敵な人物だったんだろうと思いました。湯川がさりげなく柳沢を激励しながら練習を続けた結果、彼の努力が実ったことを想像させるラストは爽やかな終わりでしたね!彼が奥様の死を乗り越え、自分の道を進んでいくことを願わずにはいられませんでした。スポーツと物理学を絡めたストーリーと読後の爽やかさが東野先生の他作品、『ラプラスの魔女』の前日譚である『魔女の胎動』に収録されている作品に近いなぁと感じました。

心聴る(きこえる)では草薙の同期、北原が初登場しますが、警視庁に抜擢された草薙や、若い女性でありながら警視庁で活躍する内海のことを妬んでいる様子でしたね。関係者ではない湯川には席を外してもらうと譲らなかったり、内海に対して高圧的な態度を取ったり、湯川に協力を求める時も全く乗り気ではありません笑 正直、あまり良い印象を抱かなかった人物ですが、湯川が煽ったことで渋々湯川に協力してもらうことに承諾します。湯川は人を煽るのが上手……笑 今回の事件を通して北原は多少気持ちを入れ替えることになったのではないでしょうか?人を妬んで犯行を行った犯人は北原と重なるところがありますが、そんな犯人に対して北原が言った「もし俺があんたの会社の社長なら、どっちを出世させるかは迷うまでもないね」という言葉は、彼が言うからこその重みがありました。

とはいえ、一般人の湯川に自由に事件へ干渉させたり、現場に立ち入らせたり、湯川と一緒に警察に秘密を作ったり……北原の言う通り周りの人間に恵まれているとはいえ、草薙はかなり柔軟な思考を持った刑事であることがこのエピソードで浮彫りになりましたね笑

考察

今回はタイトルの意味について簡単に解説していこうかと思います。

今作のタイトルに関して書かれているのは7作目に収録されている演技る(えんじる)ですが、ラストのガラスに反射して映った花火をみながら湯川が言った「虚像を追い求める人生もあるということだ」というセリフから来ているようですね。

この事件の犯人は痴情のもつれから被害者を刺し殺していますが、その元カノが犯人を庇うように偽造工作を行っていました。しかし、それは決して犯人を庇うことが目的なのではなく、自分自身が役者として殺人犯を体験することが目的なのでした。一般人の私からすると全く理解できないのですが……

湯川は科学を研究する目的は「真理を探究すること」と前作で語っていましたが、犯人役を体験しようとした神原も、湯川を同じく演技を追究するものです。何かを極めようとする姿勢において、彼らには共通点があると言えるでしょう。

しかし、実在する現象をどこまでも論理的に読み解いていく湯川と対照的に、神原が求めているのは自分に別の人物を投影することです。神原がしたのは本当の殺人ではなく、殺人犯の疑似体験でしかありません。

道化師とは滑稽な恰好や言動をすることで人を楽しませる存在であるピエロのことですが、ピエロは素顔を厚化粧で隠し、道化を演じていますよね。神原はピエロのように犯人の皮を被って殺人犯を演じていただけで、それはまさしく 鏡のように殺人犯を模倣した偽物であり虚像でしかない、といことなのではないかと思いました。

まとめ

いかがでしたか?今回は東野圭吾先生の「虚像の道化師」についてまとめさせていただきました。

最後まで読んでいただいてありがとうございました!

単行本

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ガリレオシリーズの他の作品はこちら!

3作目 「容疑者xの献身」

4作目 「ガリレオの苦悩」

5作目 「聖女の救済」

6作目 「真夏の方程式」

7作目 「禁断の魔術」

9作目 「沈黙のパレード」

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