【「ムーミン谷の彗星」トーベ・マリカ・ヤンソン先生(ネタバレ注意)】あらすじ・感想・考察をまとめてみた!ムーミンシリーズ1作目!裏の主人公はスニフ?

ファンタジー

こんにちは、きなこぬこです。

今回はトーベ・ヤンソン先生の「ムーミン谷の彗星」を読んだ感想・考察についてまとめていきます。

今作はムーミンシリーズ1作目ですね!私は誤って2作目の「楽しいムーミン一家」から読み始めましたが、こちらの作品が既刊されているムーミンの最初の作品です!本当はもう一つ前の作品がムーミンたちの始まりの話で、ムーミンたちがムーミン谷に辿り着いて住み着くまでの物語が描かれているそうですが……将来出版されたりするでしょうか?

あらすじ

ムーミン谷で楽しく暮らすムーミン一家の元に、大雨の夜に哲学者のじゃこうねずみがやってきた。彼は地球にもうじき彗星が衝突することをみんなに伝える。ムーミントロールは一緒に暮らす小さな動物のスニフと共に天文台を目指して旅に出る。親友となるスナフキンや、スノークのおじょうさんたちと出会いながら旅を続ける中、少しずつ彗星が衝突する日が近づいてくる。ムーミンたちは地球が滅ぶ前に、無事家族の元に戻ることができるのか。

こちらは映画ですね!

以下はネタバレを含みます。

感想

上述したようにムーミンシリーズは2巻からスタートした私は、アニメの記憶と合わさって、ムーミン谷で暮らすムーミンとその仲間たちの平和な暮らしを描いた作品だと思っていました。しかし。今作は地球滅亡が刻一刻と近づいく終末世界な上に、ムーミンたちは旅に出るのでムーミン谷は序盤と終盤しか登場しません笑 平和な日常とは程遠い非日常の中で、ムーミンは多くの仲間と出会いながら母と父の待つムーミン谷へと急ぎます。彼らが無事に地球が滅ぶ前に家族の元に戻ることが出来るのか、そして彗星の衝突に洞窟に籠ることで持ちこたえることができるのか……終始ハラハラしてしまう展開でした!これは今まで抱いていたムーミンシリーズのイメージとはかなり異なっていたため、衝撃でした。

そんな緊急事態の状況下でも、ムーミンは仲間や家族を大切にし、何とかして生き残るために奮闘します。他の住人たちが散り散りに逃げていくのに対して、ムーミンたちがみんなで協力して洞窟に籠るのは対照的で面白いですよね!

また、今作ではその後主要なキャラクターになるスナフキンやスノークたちとの出会いの物語が描かれていて、初めて知るエピソードだったので興味深かったです。

印象的だったのは、スナフキンのこの言葉です。

自分できれいだと思うものは、なんでも僕のものさ。その気になれば世界中でもな。

もちろん、他人のものと自分のものの区別がつかないどこぞのガキ大将の言葉とは意味が全く違います笑

ミニマリストのスナフキンは、ほとんど荷物を持っていません。ですが、この言葉では彼は世界中の美しいものは自分のものだと言っています。この言葉には続きがあり、彼は美しいものは見るだけにしているのです。そして、立ち去る時には頭の中に美しいものをしまっておくのだそうです!スナフキンは、自分が見た美しいものを自分の頭の中に貯めていくことで、自分のものにしているんですね!

とっても素敵な考え方なので、私も綺麗なものを見たら写真を撮るだけではなく、いつでも思い出せるくらいに大切に心に刻みつけようと思いました!

考察

今作の主人公は言わずもがなムーミンなのですが、もう1人主人公がいますよね?それはスニフです。彼は最初から最後までムーミンと一緒に旅をします。

臆病で、虚栄心が強く、虚言癖があり、わがまま。正直、嫌なヤツだなぁと思いながら読み進めていたのですが、終盤で印象がガラリと変わりました。その理由は、スニフが子猫へ向けていた思いの正体が最後の最後で分かったからです。

スニフがどういう経緯でムーミン一家と共に暮らしていたのかは分かりませんが、明らかに一人だけ家族ではないのは分かりますよね。そんなスニフはムーミンと共に海岸に言った時、一匹の子猫に出会います。この子猫はスニフに対して全く興味を示しませんが、スニフはこの子猫に異様な程執着します。旅から戻った後も子猫を大切にしようとしますが、せっかくの好意も子猫にあしらわれてしまいます。

彗星が近づいてきてみんなで洞窟に籠ったムーミンたちですが、ムーミンママが作ったケーキに書かれていたのはムーミンの名前であり、自分のことは書かれていいないことに気付きます。そして、子猫を探しに洞窟を飛び出してしまいます。

ムーミンママとしては一番かわいいのはやっぱり息子のムーミンなのでそのようにムーミンの名前を書いたのでしょうが、スニフはその出来事によって自分は誰かの唯一無二ではないことに気付いてしまいます。ですが、おそらくスニフはそのことにずっと前から気付きつつも、目を逸らし続けていたのではないかと思います。自分よりも弱くて小さな子猫の唯一無二の存在になりたかったからこそ、スニフは子猫に執着したのではないかと思うのです。子猫に頼ってもらうことで、スニフは自分の承認欲求を満たそうとしたのではないでしょうか。

虚言癖やわがままも周りの人の注目を引くためだったのかもしれないと思うと、なんだか憎めないキャラクターに見えてきたのでした笑 

そんなスニフですが、危険を顧みずに子猫を探しにいき、最終的には子猫に固執しなくなる姿には心打たれました!子猫に見返りを求めることなく、怖いと思いつつも行動できたことで、自分に自身がついて誰かから認められたいという気持ちが薄らいだのかもしれませんね!

まとめ

いかがでしたか?今回はトーベ・ヤンソン先生の「ムーミン谷の彗星」についてまとめさせていただきました。

最後まで読んでいただいてありがとうございました!

ムーミンシリーズの他の作品はこちら!

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コメント

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