こんにちは、きなこぬこです。
今回は知念実希人先生の「硝子の塔の殺人」を読んだ感想・考察についてまとめていきます。
2022年本屋大賞にノミネートされました!
あらすじ
医師の一条遊馬は、雇い主である神津島太郎を殺害する決意を固めていた。その日、神津島は重大発表をすると言って刑事や占い師、推理作家、編集者、そして名探偵を自宅に招いていた。計画通り神津島を殺害し、罪の意識に押しつぶされそうになていた一条。そんな中、意図していなかった形で雪山でのクローズドサークルが成立してしまった上に第二の殺人が起こってしまう。心当たりのない一条は戸惑うが、名探偵である碧月夜の助手となって捜査に協力することで、いち早く第二の事件の犯人を見つけ出して自身の罪をなすりつけようと目論む。しかし、一条の思惑に反して事態は意外な方向へと動いていく――
以下はネタバレを含みます。
感想
この本を見て最初に持った感想は、「帯がすごいな!」です。日本を代表するミステリー作家たちが名前を連ねているだけでなく、その全てのコメントがこの本を絶賛しています。面白くないわけないじゃないですか!笑 迷わず購入しました笑
実際、犯人であるはずの一条ですら展開を読むことが出来ない程に二転三転していく状況に圧倒されてしまいました!そして、当たり前のように簡単に終わらせてくれないラストも良かったです!
読んでいる最中ずっと引っかかっていた月夜の異常な程の探偵へのこだわりが気になっていたので、すっきりしました。そして、彼女の誰も理解できない程に常軌を逸した狂気に、ラストに向けてページを捲る手が止まりませんでした。
知念先生のミステリーへの造詣の深さにも驚きました。国内だけでなく国外まで、しかも古典からここ最近の作品まで、様々なミステリー小説がこれでもかと言う程登場しますよね!最初は塔に集まったのがミステリーオタクばかりだからかと思っていたのですが、中には事件の鍵としての役割を果たしている作品もあって、ここまでうまく他の作品を物語に絡めていくのはすごいなと思いました!
普通に善人である一条が手を汚していなくて少しホッとしました笑
月夜はきっと生き延びているのでしょうね……倫理観はさておき、名探偵を探すために難事件を起こすという彼女の理論は非常に合理的ですよね。だって難事件を解いてくれた人こそが、どこの誰か分からない無名の人間であったとしても、名探偵であることに変わりないんですから!恐ろしい発想ですけどね笑 彼女がいつか本物の名探偵と巡り合えることを、一条先生と共に祈っています。
登場作品一覧
ミステリー大好きな人たちのお話だったので、作中では数多くの名作ミステリーが紹介されていましたね!
取りこぼしがある可能性はありますが、作中で登場した作品の一覧を作成してみました!
私もミステリーが大好きなのですが、登場作品を全て読破しているわけではないので 読んだことない本と出会うきっかけになるかと思って作成した私用のリストですが、せっかくなのでどんな作品が登場していたのか確認したい方にも活用していただければ幸いです!
以下は五十音順で作者ごと(敬称略)に並べています。小説のみなのでドラマや映画は除外しています。また、作品名を言いかけてやめたものは含まれていません。
【アーサー・コナン・ドイル】
踊る人形
まだらの紐
【アガサ・クリスティー】
アクロイド殺し
オリエント急行殺人事件
鏡は横にひび割れて
火曜クラブ
そして誰もいなくなった
ねじれた家
パディントン発4時50分
【我孫子武丸】
8の殺人
【綾辻行人】
奇面館の殺人
十角館の殺人
時計館の殺人
【鮎川哲也】
りら荘事件
【泡坂妻夫】
11枚のトランプ
【アントニー・バークリー】
毒入りチョコレート事件
【井上真偽】
探偵が早すぎる
【今村昌弘】
屍人館の殺人
【歌野晶午】
長い家の殺人
【エドガー・アラン・ポー】
モルグ街の殺人
【エラリー・クイーン】
Yの悲劇
エジプト十字架の秘密
【岡崎琢磨】
珈琲店タレーランの事件簿
【北村薫】
空飛ぶ馬
【島田荘司】
暗闇坂の人喰いの木
占星術殺人事件
斜め屋敷の犯罪
【ジョン・ヴァードン】
数字をひとつ思い浮かべろ
【ジョン・ディクスン・カー】
火刑法廷
不可能犯罪捜査課
三つの棺
【竹本健治】
トランプ殺人事件
【辻真先】
仮題・中学殺人事件
9枚の挑戦状
【二階堂黎人】
人狼城の恐怖
【東野圭吾】
十字屋敷のピエロ
名探偵の掟
容疑者xの献身
【深水黎一郎】
最後のトリック
【法月綸太郎】
キングを探せ
【マーガレット・ミラー】
狙った獣
【三上延】
ビブリア古書堂の事件手帖
【米澤穂信】
インシテミル
【麻耶雄崇】
神様ゲーム
知っている作品はありましたか?国内から海外まで満遍なく登場していることが分かりますね!知念先生のミステリー愛が感じられます!
考察
今回は、一条が何故生き残ることができたのかについて考えてみようかと思います!
というのも、個人的には生存者を全員殺害してしまうのが最も合理的な解決法だったと思うのですよね。そうしたら硝子の塔で起こった事を知る人間は誰もいなくなりますし、月夜が生き残れば今後も名探偵としての活動を継続することが可能だったと思うのです。
では、何故一条を含む生存者たちが無事に帰還できたのでしょう?それは、一条遊馬が名探偵だったからではないかと思います。
月夜は一条のことを名探偵として認めなかったのでは?と思ったのではないでしょうか。私は認めていたのではないかと思うのです!
確かに最終的にはワトソン役として彼を誉めましたが、月夜を追い詰めるまでたどり着いたのは(月夜からのヒントがあったとはいえ)一条の力です。月夜の罪を暴き、彼は立派に名探偵としての役割を果たしています。
さらに、月夜は自身が起こした難事件を解決できる人間こそが「名探偵」であると定義していました。完全に自力ではなかったとしても、一条はこの定義に当てはまります。さらには、一条が推理を披露した際には月夜は一条を「名探偵」と呼んでいるのです。
以上のことから、一条遊馬は月夜が言うところの名探偵たりえるのです。
月夜はおそらく、一条と本気で死ぬつもりだったのではないでしょうか。というよりは、一条を殺して自分だけ逃げる算段がついていたのではないかという可能性の方が高い気はします。
しかし、一条が名探偵であるが故に、一条は月夜にとって自身の秘めたる狂気への初めての理解者となりました。一時でも自身の相棒であった、そんな一条を殺してしまうのは、さすがの彼女ももったいないと思ったのではないかと思います。一条は、名探偵として月夜を理解したことに加えて、名探偵役を演じた月夜の良き相棒でもあったからこそ生き延びることができたのではないかと思います。
実際、後日談として一条の手元に相棒宛てとしてのはがきが送られてきていることからも分かるように、月夜は一条を自分の理解者である相棒として生かしたのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたか?今回は知念実希人先生の「硝子の塔の殺人」についてまとめさせていただきました。
最後まで読んでいただいてありがとうございました!
コメント
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