【「黒牢城」米澤穂信先生(ネタバレ注意)】あらすじ・感想・考察をまとめてみた!第166回直木賞受賞!2022年本屋大賞ノミネート!

ミステリー(国内)

こんにちは、きなこぬこです。

今回は米澤穂信先生の「黒牢城」を読んだ感想・考察についてまとめていきます。

今作は2022年このミステリーがすごい!1位2022年ミステリが読みたい!1位2022年本格ミステリ・ベスト1位週刊文集ミステリーベスト1位4冠を達成しています!

第166回直木賞の受賞!さらには、2022年本屋大賞にノミネートされました!

あらすじ

天正六年、織田信長の臣下だった荒木摂津守村重が謀反し、伊丹の有岡城で戦に向けた準備を進めていた。有岡城の堅牢さに絶対の自身を持った村重の元に、黒田官兵衛が織田の使者として翻意を説得するために現れる。村重はそれを聞き入れることなく一般的な武門に反して、自身を殺すよう訴える官兵衛を城の土牢へと閉じ込めた。長く籠城を続ける村重は、難題にぶつかった時には土牢を訪れ、官兵衛に謎を解かせることで織田との戦を続けていたが……

以下はネタバレを含みます。

感想

※写真は大阪城です。

時代小説等の文章を普段から読みなれていなかったので、話題になっているなぁと思いつつも敬遠してしまっていた作品……とはいえ上記に紹介した通り多くのミステリー関連の賞を受賞しているので、頑張って読んでみることにしました!

予想していた通り慣れない文章に四苦八苦してしまったものの、時間の経過と共に少しずつ村重から心が離れていく家臣たち、焦る村重、そして村重と官兵衛の腹に一物抱えたやり取りにどんどん引き込まれていきました!文章に慣れていないと読みにくさがあるものの、それでも読み進めることのできるほどに面白いストーリー展開のおかげで、なんとか最後まで読み切ることができました!

本作は四つの連作短編で構成されていて、それぞれ事件が起こり、困った村重が官兵衛を頼って事件を解決していきます。

最初は難事件に遭遇しても冷静に自分のことを分析し、家臣たちの様子も見ながら対処していた村重でしたが、些細なことが時間をかけて積み重なっいくことで城内の空気が変わっていき、堅かったはずの城が脆くなっていく様子の描き出し方がすごかったです!村重のことを家臣たちが信じられなくなっていったのと同じように、村重も時間が経つにつれて家臣たちのことを信用できなくなっていきます。軍議の時の村重の装備が少しずつ増えていく様子も、城内の彼らの変化を表していて面白かったです。序盤に村重自身が「兵が大将の器量を疑い、城の堅さを疑っていたが故に、あの時の伊丹城は脆かったのだ。その轍を踏んではならぬ」と語っていましたが、一冊かけて見事に自分で建てたフラグを回収してくれましたね笑

官兵衛は終始土牢に閉じ込められていたものの、安楽椅子探偵のように次々と難題を解決していく姿が爽快でしたね!二人の策士たちの土牢でのシーンは、事件の真相について語りながらも心理戦が繰り広げられていて、他のシーンに比べても圧倒的な緊張感がありました!特に最後の最後だけはそれまでのやり取りとは違い、本音をぶつけ合っているところが非常に印象的でした。

牢の中で子守歌を歌って息子の死を悼んでいた官兵衛でしたが、最後には同僚の竹中半兵衛のおかげで息子に再会することができましたね!物語の全体が悪因によって成り立っているような厭世を憂う話になっていたものの、親子が再開できたお陰で世の中は悪因だけではなく良因もあると、光を見ることができてホッとしました。

考察

序盤、土牢で閉じ込められた官兵衛に「武士の習いを曲げてまで何をそんなに恐れているのか?」と問われた村重はその時は質問に答えることはありませんでしたが、最後の土牢での会話で官兵衛にその答えを伝えていましたね。村重がずっと恐れていたのは、将の悪行に対する臣下や民による反乱でした。

村重は信長という人物の魅力に惹かれながらも、彼は人を殺しすぎると感じていました。信長が人をたくさん殺すことに辟易したことが、作中で村重が信長に謀反した理由として描かれています。史実では村重が謀反した理由は不明となっているので、これは米澤先生が考えた理由なのでしょう。しかし、村重が本当にこのような理由で謀反したのであれば、 信長が本能寺にて家臣に討たれることを予見していたことになります。そうなると、村重は謀反に失敗し敗走したものの先を見る目を持っていた聡い人物だったということになります。実際、謀反を起こすのが少し早すぎたのかもしれませんね。

天下統一を目前にしていた織田信長に謀反したり、本来は殺すべき黒田官兵衛を生かして閉じ込めたり……と、その行動の理由が後世の人たちに伝わっておらず、そのため人気とは言い難い武将の村重ですが、この作品ではそんな村重が先見の明を持ち、官兵衛と渡り合える程の戦国有数の切れ者として描かれているため、今までとかなりイメージが変わりますね!

また、作中で村重は信長が殺すのなら自分は殺さないと決めていました。もしかすると村重は、信長と同じような状況下で信長と同じように自身の魅力で人を惹きつけながらも、信長のように人を殺して恐怖で支配するのではなく人徳を持って治めることで天下を取ろうとしみたのかなとも思いました。

まとめ

いかがでしたか?今回は米澤穂信先生の黒牢城についてまとめさせていただきました。

最後まで読んでいただいてありがとうございました!

2022年本屋大賞まとめ記事はこちら!

コメント

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