こんにちは、きなこぬこです。
今回は知念実希人先生の「リアルフェイス」を読んだ感想・考察をまとめていきたいと思います。
私は元々海堂尊さんのバチスタシリーズの大ファンだったのです、こういったミステリーは大好物です笑
あらすじ
バイト先を探していた大学院生の麻酔科医 朝霧明日香は、天才形成外科医 柊貴之と出会う。柊はその手腕で依頼者の顔を美しく作り変えていく。明日香は整形に対して複雑な思いを抱きながらも、柊のクリニックに持ち込まれる奇妙な依頼に関わっていく。そんな時、4年前に起こった整形美女連続殺人事件に酷似した事件が起こり、柊が事件と関係していることが明らかになり…
4章で構成されており、一つ一つは依頼を解決していく短編のようになっていますが、全編通して柊の過去が明らかになっていきます。
以下はネタバレを含みます。
感想
初めて知念実希人先生の作品を読んだのですが、現役医師なので非常にリアリティがあっておもしろかったです。
個人的には、凶弾を受けた患者さんに緊急開腹手術を行った場面は臨場感がすごくてドキドキしました!
私は手術室の看護師ではないのですが、学生時代に実習で手術に立ち合わせていただいたことがあり、その当時のことを思い出しながら読みました笑
また、この作品に出てくる柊先生や明日香先生は仕事に対してそれぞれの強い信念を持って臨んでいて、とても素敵だと思いました!
柊先生のことは最後まで信じることができたので、ホッとしました…
騙そうとしてきた相手を、一枚上手な方法で騙し返したラストは、非常に爽快でした!
考察
柊貴之の信念
柊先生にとっての『正しさ』
柊先生は偽の死亡診断書を書こうとした時に明日香先生から反対され、
世間の『正しさ』になんてなんの意味ないんだよ
と答えています。
また、裏社会の人間とも繋がりがあり、顔を変えることにより逃亡に加担しています。
いずれも、法に触れる行為ではありますが、柊先生は迷うことなくそれらの選択をします。
世間一般からみればそれは正しい行いではないかもしれませんが、柊先生は世間の『正しさ』よりも、自身が信じる『正しさ』から行動しています。
これには自分の行いに誇りを持ち、誰かを救うための強い信念が必要です。
普段はおちゃらけた雰囲気の柊先生ですが、ところどころ覗く意志の強さがとても魅力的な人物ですね!
美容整形に対する思い
美容整形に対してよく思っている人もいれば、あまりよく思わない人もいますよね。
個人的には自分の顔がとても気に入っているという訳ではありませんが、好んでメスを入れようとも思いません。
ですが、他の人が整形することに対して嫌悪感があるわけでもありません。
私個人としては、自分はしないが、整形したい人が整形をして、それで自己肯定感が得られて幸せになれるのであれば良いのではないのかな、くらいのスタンスです。
以下は明日香先生に「美容整形は間違っている」と訴えられた時の柊先生の言葉の一部です。
『正しい』とか『間違っている』って問題じゃないんだよ。それは個人個人の価値観によるものだからね。美容外科を倫理的に間違っていると思う人は多い。私はそれを否定する気はないよ。価値観は強制されるものじゃないからね。ただね、現実問題として美容外科を必要としている人々はいる。(中略)彼らは大きな怪我をした者と 同じくらい、いや、場合によってはそれ以上にコンプレックスを感じ、苦しんでいる。(中略)最後の手段として自らの身体にメスを入れるんだ。美容外科医にできることは、自らの持つ技術を尽くして、そういう人々の苦しみを少しでも和らげることだけだ。だから、私は自らの仕事にプライドを持っている。
この言葉の後、柊先生はちょっと照れたように誤魔化していますが笑
とても素敵ですよね!
この言葉こそが柊先生の美容整形に対する考えであり、彼の仕事に対する姿勢を表しています。
患者さんの外見の悩みに対して非常に真摯に向き合っていて、自分もこんなふうに信念を持って職務当たりたいなと思いました。
朝霧明日香の信念
明日香先生が高校生の時、祖母が末期癌となりました。痛みが強く、麻薬を使用して痛みを和らげていました。
しかし、副作用が強く、実際に明日香先生の祖母も、傾眠傾向(はっきり目が覚めず、ウトウトした状態が継続していることを指します)となってしまい、お見舞いに訪れても話をすることができなかった、と語っています。
この経験から、明日香先生は「副作用が少なく、痛みを取り去る薬の研究がしたい」と考え、医学の道を志します。
この姿勢に対し、柊先生は『美しい』と評しています。
柊先生が言うように、あまり脚光を浴びてお金を稼ぐことができる分野ではないことは確かですが、自分の経験から研究したいと考え、その道を進んで大学院まで来た明日香先生はとても芯が強くてかっこいい人だなと思いました。
芯が強く真っ直ぐだからこそ、明日香先生の『正しさ』がときには柊先生の信念と相反してしまい、衝突してしまうのだと思います。
しかし、そのたびに周囲流されてしまうことなく、おかしいと感じたことは『おかしい』と訴え、考え続けている姿勢こそが、明日香先生の真に“美しい”ところなのではないかと思いました!
まとめ
いかがですか?
今回は知念実希人先生の「リアルフェイス」についてまとめさせていただきました。
やっぱり医療ミステリーは面白いですね!
個人的にはイメージしやすいジャンルなので、今後もたくさん読んでいきたいなとも思うのですが、やっぱり仕事のことがちらつく…笑
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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