【「インビジブルレイン」誉田哲也先生(ネタバレ注意)】あらすじ・感想・考察をまとめてみた!姫川玲子シリーズ4作目!

ミステリー(国内)

こんにちは、きなこぬこです。

今回は誉田哲也先生の「インビジブルレイン」を読んだ感想・考察についてまとめていきます。

姫川玲子シリーズ4作目のこちらは、今作を原作としてシリーズ1作目の「ストロベリーナイト」のタイトルでドラマの延長として、2013年に佐藤裕市監督により姫川玲子役:竹内結子さんで映画化されています。

映画の方は小説と内容が少し異なるみたいですね!

あらすじ

とある暴力団関係者の殺人事件捜査に加わった姫川班。事件の性質状捜査には組対も参加しており、いつもの捜査に比べてより一層身動きが取れず、捜査が進まない姫川たち。そこへ、「犯人は柳井健斗」というタレこみが入る。しかし、上の圧力により、柳井健斗のことは追及するな、という指示が出てしまう。強い信念を持った刑事である玲子は、この難問にどう対処するのか。警察組織からの圧力に抗うことはできるのか。物語は、急展開を迎える……!

以下はネタバレを含みます。

感想     

まず、これだけは言わせてください。

玲子、お、おまえ……菊田という人がいながら……!!!

あんまりですよ!菊田がかわいそうです!ここまで足踏みしてきた菊田にも非はありますが、かわいそうなんですよ!

しかも、菊田今回全然登場しないし!!!

そのうえ、姫川班解体されちゃうし!!!!

ともかく色々とショックを受けています。急展開すぎてもう頭が追い付きません!笑

……取り乱して失礼しました。以上が私の率直な感想です笑

次作からの雰囲気は一変してしまうのでしょうね……。でも、姫川玲子はこんなことで止まる女じゃありませんよね。

ガラッと変わった環境下から這い上がるために奮闘する彼女の姿が楽しみです!

なにはともあれ、今回の一番の被害者は、ずっと想い続けていた玲子を他の男に取られかけた上に、姫川班の解体で玲子と一緒にいれなくなった菊田であることに、疑う余地はありません笑

頑張れ菊田!笑

            

考察

「インビジブルレイン」のタイトルの意味は?

物語の最後の場面で、玲子はこのように考えています。

ふと空を見上げ、見えない雨を探すことだってある。牧田を思い出したくて。彼を近くに感じたくて。

牧田と雨の中ドライブしたことを思い返し、この世を去ってしまった牧田の面影を雨の中に探そうとしています。

玲子は雨=牧田と考えているのでしょう。きっとこれからも雨が降る度に牧田のことを思い出しては苦しむのでしょうね……

さて、今回のタイトルはインビジブルレイン」、つまり「見えない雨」ですよね。

雨の中に牧田を探すけれど、牧田を探すための雨が見えない

=牧田と過ごした夜にはもう戻れない

ということなのではないかと考えました。

牧田と過ごした夜は、玲子にとって捜査一課姫川班の主任の立場でした。

しかし、その立場も、理解ある上司も頼れる仲間も、玲子が自分の正義を信じて突き進んだことで全て失ってしまいます。

牧田と過ごした夜に戻れない、というのは、あの夜玲子が持っていた、今まで築いてきたものを失ってしまったことも意味するのではないかと思います。

好きになった男が目の前で死んでしまったことも、自ら築いてきた居場所を失ってしまったことも彼女に傷を残すでしょうが、そこは強い女の姫川玲子、雨上がりの道を彼女らしく突き進んでほしいですね!

柳井健斗の孤独からの解放

今回一番感動したのが、柳井健斗の変化でした。

彼は父と姉が肉体関係を持っているという壊れた家庭環境で育ち、小林充に姉を殺害され、父は自殺してしまいます。そして、姉を強く慕っていた柳井は十年以上小林充に殺意を抱き続け、目的の達成のために普通なら関わりたくないような人たちを見方につけました。

彼は小林充を殺す方法を懸命に検討し、自己分析して、最終的には目的を達成することができました。しかし、自分の命を顧みずに復讐を達成することこそが、柳井の生きがいになってしまっていたのです。

そんなある日、柳井はバイト先の同僚である内田貴代に好意を向けられ、彼女から与えられる愛情に戸惑いつつも、彼なりに少しずつ受け入れていきます。

しかし、最期は脅されてしまい、内田とお腹の子のために命を絶ちます。

ありがとう、貴代。君のお陰で、最後に少しだけ、あったかい思いができたよ。短かったけど、君からはたくさん、あったかいもの、もらった。

貴代へ向けたこの想いから、復讐のためだけに命を懸けていた彼の人生観が、貴代の存在によって大きく変化したことが伝わってきます。

柳井にとって内田貴代の存在は予想外であり、こんなにも自分のことを好きになってくれる存在ができるとは考えていませんでした。柳井は、幼少期に姉からもらった「あったかさ」を内田に重ねていたのではないかと思います。

柳井の最期は傍からみれば決して幸せなものではないですが、自身に無償のあたたかさをあたえてくれた内田貴代への感謝の気持ちを胸に、復讐以外のために命を張ったことは、彼にとっては幸せなことだったのかもしれませんね。

まとめ

いかがでしたか?

今回は誉田哲也先生の「インビジブルレイン」についてまとめさせていただきました。

最後まで読んでいただいてありがとうございました!

姫川玲子シリーズの他の作品はこちら!

3作目 「シンメトリー」

5作目 「感染遊戯」

コメント

  1. […] […]

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