こんにちは、きなこぬこです。
今回は伊坂幸太郎先生の「クジラアタマの王様」を読んだ感想についてまとめていきます。
あらすじ
製菓会社の広報として働く普通の会社員の岸は、夢の中で戦っているような感覚がありながらも確信を持てずにいた。そんなある日、新商品に異物混入していたと問い合わせがあり、ネットで拡散されて大騒ぎとなる。この事件で議員の池野内と出会い、岸とは夢の中で共闘していることを告げられる。さらには夢での戦いの勝敗が現実世界に影響しているという。同じく夢の中で仲間にはアイドルの小沢ヒジリがいるそうだが……夢の記憶が曖昧な岸は戸惑いながらも、夢でも現実でも戦う日々を過ごしていく。
以下はネタバレを含みます。
感想
ハシビロコウかわいいですよね!!日本では飼育している動物園が少ないらしく本物を見たことが無いのですが、いつか見てみたいです。目つきが良いですよね笑
今作はそんなハシビロコウが夢の中で仕事を斡旋する某モンスターを狩るゲームのような夢で闘う彼らの勝敗が、現実世界に影響を物語でしたね。その夜に見た夢での勝敗は既に決まってしまっていることに絶望感を感じてしまう岸でしたが、倒れても諦めずに立ち上がることで現実世界での勝敗を自らの望むものへと変えました。実際かなり絶望的な状況でしたが、そこからの逆転は手に汗握りましたね!
何よりすごいのが、偶然にもコロナウイルスによるパンデミックが起こる前に、ウイルスによる脅威が迫る日本とそれに立ち向かう個人を描いていることですよね!感染症の脅威の中で修学旅行に行ってしまった学校が過剰に責められたり、感染が拡大する前段階で感染してしまった人間をみんなで責めたり、身内が感染してしまったことで岸が感じている不安だとか……コロナウイルスにより世界的パンデミックが起こった今だからこそ、コロナが流行し始めた初期に実際に起こったことを見てきたのではないかというくらい正確に描写していることがわかります。私は看護師として勤務していたのですが、私が働いていた病院でコロナウイルスが流行し始めた初期の頃に医師や看護師に感染者が出てしまったことで、かなりマスコミに叩かれました。同僚の中には近所の人に「感染するから」という理由で避けられた人もいました。実際に自分が感染していなくても、医療職者として感染症と闘っていても、当時は本当に辛かったことを覚えています。今作でも不満をぶつける対象としての何かしらの敵を作り上げてしまうメディアや、感染症の恐怖に煽られて自分の身を守るために攻撃になってしまう人々の姿が生々しく描かれていて驚きました。
伊坂先生の作品に登場することの多い結果は既に決まっているという予定説のような概念が、今作では夢により結果の良し悪しが事前に決まっているという設定により活きています。展開によっては無力感に包まれてしまいそうな設定ですが、たとえ結果が悪い方に転ぶと分かっていても諦めない主人公たちの姿に勇気付けられますね!
夢での出来事は終盤以外はイラストのみで登場しますが、イラストのふんわりした雰囲気が、夢の世界の記憶が曖昧な岸にとってのあちらの世界の見え方を的確に表していて絶妙にマッチしているように感じました!
あとがきがSAO(ソード・アート・オンライン)の作者・川原礫先生なのがまた良い人選ですよね!
まとめ
いかがでしたか?今回は伊坂幸太郎先生の「クジラアタマの王様」についてまとめさせていただきました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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