【「透明人間は密室に潜む」阿津川辰海先生(ネタバレ注意)】特殊設定を活かした本格ミステリー短編集!あらすじ・感想をまとめてみた!

ミステリー(国内)

こんにちは、きなこぬこです。

今回は阿津川辰海先生の「透明人間は密室に潜む」を読んだ感想についてまとめていきます。

今作は2021 本格ミステリ・ベスト10 1位2021年このミステリーがすごい!2位ミステリが読みたい!3位にランクインしています!

あらすじ

透明人間は密室に潜む

透明人間になってしまう病気が広がっている世界。透明人間病の彩子は、透明人間ではなくなる治療薬を飲みことを辞めて、とある恐ろしい計画を実行する。完全な透明人間になるための多くの障壁を乗り越えて殺人を成し遂げた彩子だったが、殺人現場から逃げる前に夫と彼が雇った探偵の茶風が駆けつけて殺人現場の部屋に閉じ込められてしまう。

六人の熱狂する日本人

アイドルグループの『Cutie Girls』のオタクが同じようにオタクを殺害した事件の裁判で選ばれた六人の陪審員は、全員アイドルオタクだった。推しについて語り盛り上がるオタクたちの熱量にあてられて裁判官たちが戸惑う中、意気投合した陪審員たちはアイドルオタ特有の視点で事件の真相に迫っていく。

盗聴された殺人

人並外れた聴力を持つ美々香は、探偵の大野と共に依頼された浮気調査のために仕込んでいた盗聴器が捕らえた殺人事件の音源を聞く。途中で現れる不協和音の正体を調べるため、大野と共に殺人事件が起こった家を訪れることになった美々香は、大野に一泡吹かせようと奮闘するが……

第13号船室からの脱出

人気シリーズである名探偵櫻木シリーズとコラボした船上での大規模な脱出ゲームに招かれたカイトは、そこでライバルのマサトと弟のスグルと出会う。ゲームを楽しんでいたところをスグルと共にマサルと間違われて誘拐されたカイトは、閉じ込められている部屋から何とか脱出を試みる。脱出ゲームと誘拐事件が同時進行する中、はたしてカイトは閉じ込められた部屋から脱出してゲームをクリアすることができるのか。

単行本版

文庫本版

以下はネタバレを含みます。

感想

今作は4つの特殊設定の本格ミステリー短編が収録されていますね!それぞれの短編はノンシリーズのため繋がりはありませんが、各話で異なる特殊設定下での個性的なキャラクターたちの活躍と特殊設定を見事に活かした本格ミステリーを楽しめるので、読了後の満足感がすごかったです!また、あとがきでは作者のミステリー愛が溢れていて楽しくなりました!以下は各話について感想を書いていきます。

透明人間は密室に潜む

透明人間が普通にいる現代日本という特殊設定の話ですね!透明人間になってしまう病気として登場していて、一般的に透明人間が存在することが当たり前になっています。しかし、透明人間たちは透明ではなくなる薬を飲まなければいけなかったり、化粧をしないといけなかったりと非常に制約が多いですね。人にぶつかられる、全裸にならなければいけない、消化中の食べ物が丸見え……などの透明人間特有の悩みがたくさん描かれて面白かったです!透明人間が起こした殺人事件について捜査する探偵も透明人間への対応に精通しているのは新鮮ですね!最後のオチも透明人間でしか成り立たない入れ代わりトリックが使われており、透明人間がいる世界という特殊な設定を最大限に活用している話で楽しめました!

六人の熱狂する日本人

裁判員制度で無作為に選ばれた人たちが全員アイドルファンという特殊設定の話ですね!評議室でのやりとりは外部からは見えず、そこにいる人しか分からないという状況をうまく利用していますね。事件に対するファンたちの気付きはファンではないと分からないような些細なことばかりですが、彼らの議論は着実に真犯人を確定していきます。しかし最終的には被疑者のアイドルオタクとしての男気を立ててあげるという笑 評議室の上がっていく熱量にオタクたちの重い愛、そして以外な着地点まで、全てが面白かったです笑

ちなみに、あとがきでアイマスファンと自称されていた作者ですが、私も一時アイマスのコンテンツのひとつであるシンデレラガールズが好きでした。作中で出てくるサイリウムを虹色にする曲の元ネタは、シンデレラガールズの神谷奈緒の「2ND SIDE」かなぁ……と思ったりしました笑

盗聴された殺人

耳が異常な程良い探偵が登場する話ですね!別件の浮気調査で仕込んでいた盗聴器が、偶然殺人事件を録音してしまいます。その途中で登場する不協和音の正体を探るために、耳の良い美々香と推理力のある大野のコンビが調査を進めていきます。美々香は耳は人並外れて優れているため足音を聞き分けたり、人が話すときの呼吸まで聞き分けることができますが、推理はあまり得意ではありません。二人が足りない部分を補って事件を解決していく展開にドキドキしました!

第13号船室からの脱出

船上での脱出ゲーム×誘拐事件が同時進行する話ですね!脱出ゲームは参加したことがありませんが、今作で描かれている感じなのでしょうか?間違って誘拐されたカイトが誘拐前にマサトの名前で脱出ゲームの答えを解答したかと思いきや、まさかのオチに戦慄……幼い少年少女はついついノーマークになってしまいますが、見事に裏をかかれました!進行中の脱出ゲームと誘拐事件が複雑に絡んでいくのが面白いですね!最後まで展開が予想できず、ふたつの謎解きを楽しめました!弟に出し抜かれ、ライバルにも完全敗北……狂言誘拐を企てた本人なので自業自得かもしれませんが、結局一番かわいそうだったのはマサトかもしれません……笑

まとめ

いかがでしたか?今回は阿津川辰海先生の「透明人間は密室に潜む」についてまとめさせていただきました。

最後まで読んでいただいてありがとうございました!

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続編「入れ子細工の夜」の記事はこちら!

コメント

  1. […] […]

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