こんにちは、きなこぬこです。
今回は五十嵐貴久先生の「リハーサル」を読んだ感想・考察についてまとめていきます。
今作はリカシリーズ4作目ですね!
1作目の「リカ」を原作として、2021年に雨宮リカ役:高岡早紀さん、本間隆雄役:大谷亮平さんでドラマ化されています!
さらにはドラマ版の続編として、3作目の「リターン」を原作とした映画が公開されました!
引用元:映画『リカ 自称28歳の純愛モンスター』オフィシャルサイト
あらすじ
叔父が院長を務める地域密着型個人病院の花山病院で副院長となった若手医師の大矢昌史は、人手不足のため看護師を募集する。雨宮リカを婦長の強い反対を押し切って採用するが、ある時簡単な手術でミスをしてしまし、リカに促されてミスを隠蔽することになる。その後も異常に付き纏ってくるリカに恐怖を感じる大矢だったが、弱味を握られてしまったことで辞めさせることもできず苦悩する。そんな中、病院職員が凄惨な事故や事件に立て続けに巻き込まれていく。
以下はネタバレを含みます。
感想
今作は1作目の「リカ」の本間隆雄と同じように、リカにターゲットにされてしまった大矢昌史の話ですね!今回もリカの凄まじさは健在……従業員として病院に所属しながら内側から崩壊させていく過程には思わず身震いしました……
終盤で大矢昌史はペアン鉗子を患者の体内に残したまま縫合してしまった時のことについて、以下のように話しています。
判断力を失い、リカに従うしかなかった。あれもリカの巧妙な誘導に嵌められたのだと、今になるとよく分かった。
この時のリカは、体内に残ったペアン鉗子の存在を大矢に伝えた後、患者が麻酔から覚めた後だと取り返しがつかなくなり時間がないこと、そして病院内での大矢の立場を踏まえて他の医師や看護師からの信用を失うことで今の立場を追われることを仄めかし、大矢に即座に判断するよう追い詰めています。さらには、リカの思惑に沿う決定をするように誘導しながらも選択肢を提示することで、最終的な決定権を大矢に与えています。そうすることで、大矢が自らの意思で医療事故を隠蔽することを決定したかのように思いこませていました。本当に見事な手腕ですよね!
また、今作のあとがきでは「リカ」に共感を抱き自分を投影して「リカ」を自分のことであると感情移入する人が増えているという記載があって驚きましたが……確かに誰の心にもリカと同じように、嫉妬心や誰かに愛されたいという思いがありますよね。リカは過激すぎますが、誰もが持つ感情を人より強く表出してしまうだけであり、行動に起こしてしまうか否かの問題なのかもしれませんね。
考察
※今回の考察は、前作の「リバース」を踏まえた話になります。以下は前作「リバース」の重要なネタバレも含まれるのでご注意ください!
「リバース」ではリカの誕生秘話が描かれていましたが、本物の梨花は既に「リバース」で「リカ」となった結花に殺害されていますよね。というわけで、「リカ」は「梨花」ではないわけです。しかし、「リバース」のラストから結花は「リカ」と名乗っており、その後の言動も生前の梨花を模倣している様子です。
今作で気になったのはリカが異常なまでに「リカ」と呼ばれることに拘っていたことです。恋人に下の名前で呼んでほしいという気持ちは分からなくはないのですが、それ以上の意味があるのだと思います。おそらくリカは、他人に「リカ」として認識されて呼ばれることにより、「リカ」という名前は自分のものであると自身に言い聞かせているのではないでしょうか。
これを裏付けるのがリカのする自慢話の内容です。父親が医者だったこと、広尾の家が三百坪もあったこと、男の子の人気が凄かったこと……これらは梨花と結花に共通しているですよね。しかし、梨花が死んでからの「リカ」の話は出てきません。「リカ」は生前の梨花の話しかしておらず、このことからも「リカ」であることに対して異常なほど執着をしていることが分かります。
以上のことから、最も「リカ」という名前に縛り付けられているのはリカ自身なのではないかと思いました。
ちなみに、今作の終盤でリカが昌史の婚約者である真由美を誘拐して殺害し、顔の皮を剥がして自分の顔を整形させたのはリカの狂気が良くわかる場面でしたよね……梨花の名前を奪い取って結花から「リカ」になったように、真由美の顔を奪えば大矢の婚約者になれると思ったのかもしれませんね……
まとめ
いかがでしたか?今回は五十嵐貴久先生の「リハーサル」についてまとめさせていただきました。
最後まで読んでいただいてありがとうございました!
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