間違いなく『すべてが伏線』!予想斜め上のラストに衝撃!城塚翡翠の化粧に隠されたメッセージを考察してみた!「medium 霊媒探偵城塚翡翠」相沢沙呼先生※ネタバレ注意!

こんにちは、きなこぬこです。

今回は相沢沙呼先生の「medium 霊媒探偵城塚翡翠」を読んだ感想・考察についてまとめていきます。

こちらの作品は2019年このミス1位に輝いています!

普段は文庫本縛りをしているのですが、文庫本になるのを我慢できず単行本を入手してしまいました!表紙がとても素敵なので後悔はありません笑

表紙を飾るヒロインの翡翠ちゃんは本当に美少女ですね…

そして帯には著名な作家さんたちのお言葉がずらり。

『すべてが伏線』の言葉に偽りはありませんでした!

衝撃のラストですが……言われてみれば気付く要素が盛り沢山だったのですね……見落としていたものの、構成が見事すぎるので悔しさすら吹き飛びます笑 思わずtwitterにいろいろと投稿したくなりましたが、何を投稿してもネタバレになてしまうので自重しました笑

あらすじ

推理小説作家である香月史郎は、大学のサークルの後輩の女性に頼まれ、彼女の悩みを解決するため、共に霊媒の城塚翡翠元を訪れる。彼女はミステリアスな雰囲気の裏に年相応の可愛らしさと、傷ついた心を隠していた。2人は様々な事件に共に挑み、解決していく。そんな中、巷では猟奇的な連続殺人事件が起こっていた。被害者は20代前半の美しい女性たち。翡翠にも殺人犯の魔の手が迫っていた…

以下はネタバレを含みます。

感想

とにもかくにもやられた…って感じです笑 もう惨敗です笑

香月先生が連続殺人事件の犯人であることは、インタールードや香月先生の発言、回想から推測できていたのですが……まさか翡翠ちゃんも嘘つきだったとは……(しかも香月先生より圧倒的に上手笑)

でもよく考えたらタイトルも表紙のイラストも、全て伏線になっていたのですね!これぞ『すべてが伏線』!笑

今回の考察は2人の嘘を見破るためのポイントなんかを中心にまとめていこうと思います。

考察

香月史郎に対する違和感、その原因は?

登場人物→香月先生の会話
翡翠ちゃん→香月先生

事件の現場を翡翠ちゃんが被害者役、香月先生が犯人役で再現しようとした時の翡翠ちゃんの言葉です。

「殺人鬼の役ですよ。お得意のはずです」

完全に「私はあなたが犯人であると知っていますよ」のアピールだったのですね…香月先生はとぼけていますが、絶対ひやっとしたのではないかという笑 この言葉は、2人が騙しあっているという含みも持っていて、二重でヒントになっていたようです。

藁科琴音→香月先生

藁科琴音が逮捕された後に取調室で香月先生に対して言った言葉です。

「あなたなら、わかってくれるかなって、そう思って」

藁科琴音は警察には話すつもりははないが香月先生になら話すといい、香月先生を指名しています。どちらも他人を傷つけることに愉悦を感じるサイコパス であったことから、共感できると考えたのでしょう。香月先生は否定していますが、内心では藁科音音の動機や思考を理解できていたのではないかと思います。

先生の各事件に対する回想
泣き女事件

なんの害意も悪意も抱かずに人を殺せる者も、この世に確かに存在する。

言い切っているところに違和感がありましたが、自分のことを話していたのですね。そりゃあ言い切る形になりますよね。

水鏡館事件

「人を殺さずにいられる人間というのは、ただその不運が訪れていないだけで、そこに特別な差はないのかもしれません」

この発言は、殺人に対して異常に肯定的です。「誰でも不幸にも人を殺してしまうことがあるけど、それは仕方ないこと」と、人殺しに理由を付けて自己肯定しようとしているように捉えられます。自分は不幸にも人殺しになってしまっただけで、不運だっただけとでも考えていたのでしょうか?

スカーフ事件

人の魂はどこにあるのだろう。

死んだらその意識はそうなるのか?

わからないことは多いが、手を伸ばせば触れられることもあるのだと、そう知ることができただけで、救いにはなるだろう。

死んでしまったら、それで終わりだなんて、あんまりだから。

この回想は、インタールードに登場していた犯人の思想に近いなぁと感じていました。ここでいう救いとは、死後の世界への関心が高く、実験と称して殺人を繰り返していた香月先生にとっての救いなのでしょうね。

犯人の名前によるミスリード

個人的に違和感があっても最後まで香月先生が犯人であるとに確信を持てなかった理由がこれなんですよね……

犯人の名前が提示されていて、それが香月先生とは関係のない名前でしたうよね。ですが、インタールードでは意識的に犯人の名前を強調しているようには感じました。完全にミスリードです。確かに作家先生ならペンネームがあって当たり前であるということまで考えが及んでいませんでした。

まさかアナグラムだったとは……!

翡翠ちゃんの正体

香月先生は意外にもヒントが散りばめていることが分かりますし、あえて読者に推察させようとしているように私は感じました。そのせいで、読者は犯人当てに満足してしまって、翡翠ちゃんの正体に疑問を持ちにくいんですよね。本当によくできてますよね!

翡翠ちゃんについてですが、こちらは細かいヒントは少ないと思いますが、数少ないヒントがかなり大胆に散りばめられています。大胆すぎてスルーしてしまうんですね……笑

実は……表紙が一番のヒント

実は、気づかず読み進めてしまっているだけで、表紙が全ての種明かしをしてくれているのです笑

そもそも、この本の題名は何でしたか?「medium」の前に「霊媒探偵城塚翡翠」と書いてあります。そうです!よくみると霊媒だけでなくしっかりと探偵と書いてあるのです。

しかし、三章の最後まで翡翠ちゃんは推理などしません。霊視しかしていないんです。こういう超能力とミステリーを絡めた作品は多いので「こういうもんか」と思ってしまいますが、表題に立ち返ってみると探偵はどこいった?となるわけです。そこから、翡翠ちゃん自身が探偵であること推測できた(かも)しれません。

大概何故か読んでいるうちにタイトルの「探偵」という文字を忘れてしまうので、ラストに衝撃を受けます笑

もう一つ注目していただきたいのが表紙の美少女翡翠ちゃんのポーズ

かの有名な世界で唯一の顧問探偵、シャーロックホームズの有名なポーズ!あの指の形はシャーロックホームズが考え事をする時のポーズです!

香月先生に対して種明かしを始めた翡翠ちゃんは、シャーロックホームズ語録を引用しています。一瞬で情報を捉えて論理的な推理を組み立てる手法はシャーロックホームズに負けず劣らずです。あまりにもその観察眼が鋭く、思考回路が早すぎるために、霊媒といって通してもまかり通ってしまうレベルの域というのが、彼女の「霊媒」の種明かしでした。それはまさしくホームズのごとし!

とはいえ、本を開く前からしっかり答えが提示されていたのは驚きですね笑

翡翠ちゃんの化粧

この作品を読んでいる間、個人的にすごく気になっていたのが化粧の描写が多いことです。この作品は化粧品が主題であったり、女の子がたくさん出てきてお化粧のお話をする話でもないにも関わらずなんですよね。

翡翠ちゃんが登場するたびに彼女のその時の化粧について触れられます。

仕事(霊媒)に関する時はミステリアスな化粧。プライベートな香月先生と出かける時等は年相応の可愛らしい雰囲気の化粧をしていた描写があります。

もちろん、かわいく着飾りたい、雰囲気を変えたいということを叶えてくれるのがお化粧なのですが、化粧に入っている『化ける』という文字通り、仮面を被って素顔を隠すためのツールとしても用いられます。

用途によって化粧を変えていた翡翠ちゃんでしたが、最後のシーンだけはスッピンで登場します。香月先生が種明かしをして逮捕された後、自室に引きこもって落ち込んでいるシーンです。スッピン=素の翡翠ちゃんなのかもしれませんね!

ここでの翡翠ちゃんはミステリアスでもなく、ぶりっこでもなく、失恋してショックで泣いている1人の女の子です。

最後の遊園地のチケットを捨てずに大事に置いていたことや、相当なショックを受けていることから考えて、香月先生に恋心を抱いていたのかもしれません。素顔の彼女は香月先生のことを心から嫌っていたわけではなくて、最後の香月先生と対峙した種明かしの時も自分の素顔を晒すことなく「探偵」を演じ切ったのかもしれませんね!

香月先生に自分の正体を明かす直前、緊迫した場面であるにも関わらず化粧が崩れていることを気にしていたのは、香月先生の前で「素の自分」ではなく、「探偵としての自分」の仮面を被るためだったのではないでしょうか!

まとめ

いかがでしたか?
今回は相沢沙呼先生の「medium 霊媒探偵城塚翡翠」についてまとめさせていただきました。

気持ちがいいくらいに騙されてしまったのでもはや悔しさすら感じません笑 ラストの雰囲気から続編が今後出たりするのでしょうか。

ですが、この作品の圧倒的な種明かしからすると、シリーズ化してしまうと、本書のような設定から覆るおもしろさがなくなってしまうので…続きが読みたいという気持ちはありますが、少し複雑な気持ちです。出たら迷わず買いますけどね笑

(2021.7.14追記)待望の続編「invert 城塚翡翠倒叙集」が出ましたね!今作があまりにも面白かっただけに、続編が出るのは期待半分不安半分でしたが……より生き生きした城塚翡翠が描かれていて、最高に面白かったです!


最後まで読んでいただいてありがとうございました!

城塚翡翠シリーズの他の作品はこちら!

2作目 「invert 城塚翡翠倒叙集」

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