こんにちは、きなこぬこです。
今回は先生の「リバース」を読んだ感想・考察についてまとめていきます。
今作はリカシリーズ3作目ですね!今作では狂気の化け物、リカの誕生秘話が描かれていました!
1作目の「リカ」を原作として、2021年に雨宮リカ役:高岡早紀さん、本間隆雄役:大谷亮平さんでドラマ化されています!
さらにはドラマ版の続編として、3作目の「リターン」を原作とした映画が公開されました!
引用元:映画『リカ 自称28歳の純愛モンスター』オフィシャルサイト
あらすじ
田舎から上京してきた花村幸子は、住み込みの家政婦として雨宮家で働くことになる。ハンサムで開業医の父、優しく美しい母、そして天使のように愛らしい双子の娘、梨花と結花。絵に描いたような幸せな家族が暮らす豪邸での仕事に幸せを感じながら東京に少しずつ慣れていく幸子だったが、家の雰囲気に違和感を抱いていく。異常な程にわがままな姉の梨花、母のヒステリックな娘たちへの暴力、そして同じように雨宮家に雇われていた友人の失踪……雨宮家に潜む闇に気付いてしまった幸子は逃れることができるのか。
以下はネタバレを含みます。
感想
タイトルに「リバース」は、梨花と結花の入れ替わり(reverse)と、リカの再誕(re-birth)というダブルミーニングになっていましたね!
序盤から異様な程結花の影が薄いのは気になっていたので、予想はできましたが……いつも「リカ」とカタカナ表記なのも本当の「梨花」ではないからなのかなと思ったりしました。
この物語では、雨宮家で勤めることになった幸子の書いた、恩師の神父に宛てた手紙の文章で進行していくのが特徴的ですよね!彼女の視点で進行していくため序盤は非常に雨宮家に対して好意的な書き方がされていて何があっても基本的には全肯定なのですが、中盤くらいから懐疑的な視点が混ざっていきます。雨宮家の異常さに薄々気付きつつも、田舎から出てきた自分が無知なだけであると自分に何度も言い聞かせてしまいます。雨宮家のことを最初は崇拝しているような感じだったので異常さから目を逸らし続けてしまったのかもしれませんね……
そんな幸子から見てもおかしくなって崩壊した雨宮家ですが、正直最初からおかしかったですよね笑 話が進むにつれて綺麗に着飾っていた皮が剥がれていき、隠されていた異常さが明らかになっていくにつれて怖さが増していきましたね!
序盤が幸せで平和な雰囲気だったので、後半の異常さがひと際面白く感じました!
田舎に一度帰り再び上京した幸子はもう一度雨宮家で働きますが、前半だけでも十分に雨宮家の異常さが発揮されていたので、私なら絶対違う仕事探しますけどね!笑
考察
リカの家庭環境と人格形成
まずは雨宮家の家族について簡単にまとめていきます。
父親は整った容姿をしており開業医なので社会的地位もありますが、家庭を顧みることなく女遊びを繰り返しています。家の外だけではなく、家に出入りする女性にまで言い寄っていました。また、双子の娘たちのピアノの発表会ですら、女性と遊ぶために欠席していました。
母親は美しく社交的ですが、何か気に入らないことがあると双子を叩いたり水の中に沈めたりと、ヒステリックな性格でした。こだわりが強く、近所の人を集めては望まれないお茶会を開催して優越感に浸っていました。最終的には宗教にドップリ浸かり、お金を使い果たしてしまいます。
梨花は太陽のように眩しいほどの美しさを持ち、学校でも家でも女王のように振舞っていました。しかし、自分が気に入らないことがあると他人を痛めつけたり貶すことを躊躇うことなく行っていました。また、常に自分が正しいと思っているため、何かあるとすぐに結花に責任転嫁していました。
この三人は恐ろしく自己中心的であり、明らかに異常でした。
対する結花はどうでしょうか?感想でも触れましたが、非常に影が薄いのです。作中でも最後のシーンまで目立った活躍はありませんでした。おそらくですが、娘に興味のない両親や自己主張の激しい梨花のせいで、家庭内での発言権がほとんどなかったのでしょう。
父は子供には無関心、母は娘たちに対して正当な評価をせず暴力を奮う、そして姉の梨花には蔑まれる……結花の立場なら気が狂いそうですよね……結花が何年もため続けてきたものが暴力的なものとして爆発した結果、凄惨な事件が起こってしまったのではないかと思います。
個人的に、”リカ”の今までの言動を考えると自己愛性パーソナリティ障害に似ているんじゃないかと思っています。この精神疾患は遺伝による影響が強いと言われていますが、環境要因もあるとの仮説もあります。「リカ」というモンスターが生まれるにあたり、上述したようなストレスフルな家庭環境が要因のひとつにあるのかもしれませんね!また、母も同様の傾向がみられることから、母からの遺伝の可能性も否めませんね……
「ドリアン・グレイの肖像」とリカの再誕
「ドリアン・グレイの肖像」は、「サロメ」で有名なオスカー・ワイルドの作品です。私も未読だったのですが引用文が気になったので内容を確認してみたところ、今作に大きく関係している内容で驚きました。
肖像画を描いてもらった美少年のドリアン・グレイは、悪行を重ねるごとにその肖像画が醜く変わっていき、その醜さに耐えられなくなったドリアンが肖像画をナイフで突き刺すと自分自身を刺していた、というのがおおまかなあらすじです。
結花は今作の最後で母と姉を自らの手で殺して「リカ」になりますが、ここで殺される梨花こそがドリアン・グレイで言うところの「肖像」だったのです。結花は自分の片割れであり生き写しである梨花を自分の手で殺すことにより、今までの自分である「結花」を殺し、「リカ」という存在になりました。
結花にとっては梨花を殺すことが「リカ」になるための儀式だったのでしょう。
「リカ」は自己愛性パーソナリティ障害の傾向があるということを上述しましたが、梨花もそうだったのではないかと思います。しかし梨花によって抑圧されていた分、結花は梨花よりも暴力性の高い「リカ」となったのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたか?今回は五十嵐貴久先生の「リバース」についてまとめさせていただきました。
最後まで読んでいただいてありがとうございました!
コメント
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