身近にありそうな恐怖がじわじわ来る…!オチが曖昧なところが良い!「怪奇小説集 蜘蛛」遠藤周作先生 ※ネタバレ注意

こんにちは、きなこぬこです。

今回は遠藤周作先生の「怪奇小説集 蜘蛛」を読んだ感想についてまとめていきます。

あらすじ

三つの幽霊

幽霊の存在を信じていなかった作者が、その存在を信じざるを得なくなったきっかけとなったフランスと日本での三つの体験を紹介する。

蜘蛛

叔父が主催する会合の場で自身が体験した不思議な体験を披露するために招かれた筆者は、その帰路で会合に参加していた不思議な雰囲気の青年とタクシーに相乗りすることになる。

黒痣

東京の銀行で働く真面目な青年、橋本三吉は、何となく中古でどこのメーカーか分からないカメラを手に入れる。しかし、このカメラのレンズを通して撮った自分の顔には、必ず謎の痣が映っていた。

私は見た

「三つの幽霊」で紹介した熱海での体験を検証するため、カメラマンと女学生を連れて、同じ旅館の離れで一晩過ごす。

月光の男

10年前に轢死した政治家の事件の真相を探るために現場を訪れた筆者たちは、月明かりの下死んだ政治家と瓜二つの人物を見かける。

あなたの妻も

どんな母親でも、女の顔を持っている。女を選び母を捨てる時、どこまでも冷酷な姿を見せる女たちの話が紹介される。

時計は十二時にとまる

名古屋の幽霊屋敷では十二時になると時計が止まるという噂を聞き、検証のために名古屋を訪れた筆者たち。歓迎してくれた人物にご馳走になり、件の現場へと向かうが……

夏休みのアルバイトとして洋館の留守番を始めた女子学生。割の良いアルバイトを見つけて喜ぶ彼女だったが、雇い主から立ち入らないように言いつけられている部屋から物音がすることに気付いてしまう。

初年兵

出張の道中で再開した青年は、戦時中に軍隊でいじめた後輩だった。報復されることを警戒した男だったが、青年の人当りの良い態度に安心する。友人の営む宿にタダで宿泊できるからと青年に誘われ、倹約な男は青年と一晩同じ宿で過ごすことになる。

ジプシーの呪

船乗りの男がフランスで出会った女性に結婚を迫られ、その気もないのに了承して怪しい儀式をすることになる。また会いに行くと嘘をついて別れたが、時間が経ったある日、男の身体に異変が生じる。

鉛色の朝

家庭を築き、堅実に仕事をする気の弱い男の前に、どこかで見覚えのある男が姿を現し金を要求してきた。シベリアでの過去を思い出した男は何とかして金を渡そうとするが、少しずつ日常が壊されていく。

霧の中の声

何もない日常、面白みのない夫に飽き飽きしている女性は、ある時から夢で見た出来事が現実で起こるようになる。友人に相談すると大学教授に紹介され、夢をノートに書き留めるように勧められる。そんなある日、自分が死ぬ夢を見てしまい……

生きていた死者

文学賞である久米賞を受賞した作家は、若く美しい女子学生だった。その容姿からマスコミに引っ張りだことなる彼女だったが、彼女の書いた文章がかつて業界を干された作家の文体と酷似していることに気付く。しかし、その作家は既に亡くなっている人物だった。

蘇ったドラキュラ

バーで扮装して客を驚かせるバイトをしていた男子学生は、そこで変わった雰囲気の同僚と出会う。バーでは女性が突然倒れるという事件が連続して起こり、男子学生は事件直後に毎回姿を消す同僚を怪しむが……

ニセ学生

三浪している浪人生が、東京大学に合格したと家族や周囲の人間に嘘をつく。東大生として家庭教師を始めるが、教え子の家族によって本物の東大生に引き合わされてしまい、身分を偽っていることがバレてしまう。

以下はネタバレを含みます。

感想

正直なところ、あんまり怖くありません笑 収録されている作品はホラーだけではなく、人が怖い話や気味が悪い話も含まれています。「世にも奇妙な物語」のような感じでしょうか。

ですが、ここで描かれているホラーは読んでから時間が経って、ふとした拍子に思い出してゾクッとする不思議な作品です。

何かあからさまに怖いものが出てくる話は少なく、語られる恐怖体験もありふれたもので大したことなく、言われてみれば確かに怖いけど……という程度のものなので、普段からホラー小説を楽しんでいる人からしたら物足りなさを感じるかもしれません。しかし、この作品が怖いのは読書中ではなく読後時間が経ってから!しっかり戸締りを確認したはずの扉や窓が次に見たら何故か開いていたら……読み終わってからじわりじわりと生活の中に沁み込んでくる怖さがあるお話がそろっています!

収録されている話の多くが実録レポや知り合いに聞いた体験談の形をとっているのでしっかりしたオチがないお話もありますが、逆にリアルで面白いですよね!

どの話も短くて読みやすく、テンポ良く進めることができます。結構面白かったので、もう一冊の同時刊行の「怪奇小説集 共犯者」の方も読んでみようかと思います!

個人的には「月光の男」がお気に入りです!バラバラになった死体、唯一確認が取れるのは傍にあった身分証明賞のみ。DNA鑑定が可能な現代とは違い、入れ代わっている可能性を確認しようもない状況ですよね。最後の場面で警察が不自然な程必死に否定する様子も「もしかして本当に……?」と読者に思わせてくれて面白かったです!あえて真相を書かないのも不気味さが残っていいですよね!

まとめ

いかがでしたか?今回は遠藤周作先生の「怪奇小説集 蜘蛛」についてまとめさせていただきました。

最後まで読んでいただいてありがとうございました!

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