【「ナキメサマ」阿泉来堂先生(ネタバレ注意)】あらすじ・感想・考察をまとめてみた!那々木悠志郎シリーズ1作目!第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作!ナキメサマはなぜ村人を襲ったのか?

ホラー

こんにちは、きなこぬこです。

今回は阿泉来堂先生の「ナキメサマ」を読んだ感想・考察についてまとめていきます。

今作は那々木悠志郎シリーズ1作目ですね!第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞読者賞を受賞しています!

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あらすじ

元カノの小夜子が失踪したたことを知った倉坂尚人は、小夜子のルームメイトである弥生に連れられて、北海道にある村を訪れる。そこでは、二十三年に一度の祭りが開かれようとしており、小夜子はその祭りで巫女を務めることになっていた。小夜子は祭りまで家の者以外とは接触できない決まりになっていたが、村に来たよるに倉坂は小夜子と思しき白い服を着た女性を見つける。村の人から夜に出歩かないように言われていたものの、女性の後を追うと村の神社に辿り着いた。不思議に思う倉坂の元に、何かこの世の者ではない存在が近づいていく……はたして、倉坂は小夜子を救い出し生き延びることができるのか。

以下はネタバレを含みます。

感想

最初の方から何となく主人公が気持ち悪く感じていたんですよね……だって六年も前に別れている、しかも自分から振ってるのにまだ好きだなんて矛盾していませんか……?ですが、ストーカーだったのなら異常のほどの執着に納得ですね!笑

わざわざストーカーのフルネームが出されていたのに本編にあまり絡んで来ないのが気にはなっていたものの、まさか最後の最後に驚かされるとは……!本当はそもそも元彼ですらなく、六年前の元彼を殺害までこじらせているストーカーなら、ストーキングしている相手の名前を出されたらついていくかもしれませんね。それにしても、どうして六年経ってから元彼を殺しに行ったこと理由がよく分からないですけどね笑

正直自分を手ひどく振った男を六年も思い続けている小夜子にも違和感があります。容姿が良く、モテないわけでもなく、村の男たちにも良く思われていた様子なのに、六年前に自分を振った男に執着する人なんているのでしょうか?小夜子の気持ちには全く共感できませんでした。

とはいえ、那々木先生が岸部露伴みたいで結構好きになりました笑 彼のキャラクターが気に入ったので、続編も読んでいこうと思います!

最後にストーカーの狭間が「自分と小夜子の間に真実の愛を見出した」と事件を振り返っている場面では、自分に都合の良いように解釈していて気持ち悪かったです……ナキメサマは目玉をつけてから暴れ始めましたが、「ちゃんとみたらこいつ元彼ちゃうやん……」と気づいて、またしても自分を騙そうとして村人たちに怒っていたのかもしれませんね笑 しかも最終的には目玉をストーカーに持っていかれてしまうという……ナキメサマからしたら災難だったでしょう笑

個人的には、もしかすると怪異よりもストーカーの方が怖いって話だったのかな、なんて思っています笑

考察

ナキメサマの正体は小夜子でしたね!半年前の小夜子の様子が現在と交互に描写されていたため、なかなか気付きにくくなっていましたね。

大飢饉が起こった時、山神様を鎮めるために恋仲だった若い男女が儀式に選ばれますが、女性が亡くなってしまいます。死んだ女を切り捨てて別の女を一緒になり村を出た男、それに怒った女の魂が村を徘徊し始めます。そして、別の男をあてがい、偽の結婚を二十三年ごと繰り返すことで鎮めていました。以上が本来のナキメサマに関する説明です。しかし、村人を殺した記録は残っておらず、目を抉り出したという話も残っていないのです。なので、これらの行動は小夜子と融合したことによって起こっているようです。そう考えると、本来のナキメサマは決して恐ろしいものではなく、昔から何となく儀式を繰り返していただけだったのかもしれません。

小夜子も、六年前に愛していた男に捨てられています。これはナキメサマとの重要な共通点だったのかもしれません。さらに、巫女である自分がたとえ瀕死であろうと何として儀式を完遂させようとした村人たちへ怒りを感じる小夜子と、嘘の結婚を繰り返されることで長い間騙され続け村人に対する怒りが溜まっていたナキメサマ。小夜子とナキメサマはどちらも村人に対して怒っていました。

①男に捨てられた、②村人に怒っている、という二つの共通した思いを持った小夜子とナキメサマはシンクロしてしまい、必要以上に融合してしまったのかもしれません。しかし、本来のナキメサマが取らない行動をとっていること、元彼に対する異常な執着が継続していることから、正確には小夜子がナキメサマを取り込んだ、というのが正しいのではないかと思います。

以上のことから、小夜子に取り込まれたナキメサマは、本来のナキメサマとは違いナキメサマの能力を持つ小夜子であり、新しい怪異となっていたのではないでしょうか。

最後にご神体(?)として狭間が目玉を持っていましたが、儀式の前に四角の箱に入っていたものが何なのかは描写されていないことから、もしかしたら別のものが入っていたのかもしれません。そのことからも、目玉がご神体となったナキメサマは、もう本来のナキメサマとは全く違う怪異だったのかもしれませんね。

まとめ

いかがでしたか?今回は阿泉来堂先生の「ナキメサマ」についてまとめさせていただきました。

最後まで読んでいただいてありがとうございました!

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2作目 「ぬばたまの黒女」

3作目 「忌木のマジナイ 那々木悠志郎、最初の事件」

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