こんにちは、きなこぬこです。
今回は中山七里先生の「人面瘡探偵」を読んだ感想・考察についてまとめていきます。
今作は人面瘡探偵シリーズ1作目ですね!
あらすじ
相続鑑定士の三津木六兵は田舎の資産家である本城家の元を訪れ、家長が亡くなったことで相続人である四兄弟の財産分割協議に参加することになる。兄弟間の仲は悪く、最初は財産もたいした額にならないと予想されていたため家の雰囲気が悪かったものの、三津木は財産の山林の土壌にレアメタルが含まれていることを明らかにしてしまう。目の色を変えた兄弟たちだが協議は進まず。その晩、敷地内の倉で火事が起こり、長男夫婦の焼身死体が発見される。
以下はネタバレを含みます。
感想
田舎の閉鎖的な雰囲気、ドロドロした人間関係、常識とは大きく乖離して価値観……田舎特有の嫌な部分を煮詰めて濃縮した世界に、人面瘡という怪異が登場する変わったミステリーになっています。主人公のヒョーロクと人面瘡のジンさんの掛け合いのテンポが非常によく、二人の会話が内容の大半を占めています。
ヒョーロクい酷い言葉をかけ続けるジンさん。体の持ち主はヒョーロクではあるものの、ほとんどジンさんの指示通りに動いているあたり、ジンさんが真の体の持ち主なのかもしれませんね笑
都合の良い時はジンさんの指示通り動いて得た成果を自分のもののようにするヒョーロクですが、思わしくない結果となった場合にはジンさんに責任を擦り付けている様子にヒョーロクの自分勝手さが出ていて面白かったです笑
考察
今回は自称人面瘡のジンさんが何者なのかについて考察していきたいと思います。
作品の最後の最後に「ジンさんは実在しない」という凄まじい破壊力を持った爆弾を投下してきましたね笑 もし仮に人面瘡という怪異なのだとするとヒョーロク以外の人間にも見えるはずなので、少なくともジンさんは怪異ではないということは確定できます。
これは私の予想なのですが、ヒョーロクは解離性同一症、いわゆる多重人格なのではないかと思っています。多重人格にもお互いの人格を認識していなかったり、記憶を共有していなかったりするものもいますが、ジンさんは同時に存在できるヒョーロクの別人格なのではないかと思うのです。
ジンさんの話す言葉はヒョーロクとは正反対ですよね。ヒョーロクが人を信じるのに対し、ジンさんは猜疑的です。ヒョーロクは自分の黒い部分、汚い部分をジンさんという別人格にして切り離しているのではないかと思うのです。そう考えると、物語の終盤のように自分の言動が何か悪い結果を引き起こしてしまったとしても、全てジンさんの責任にすることでヒョーロクの精神的負担を軽減することが可能になっているのではないかと予想できます。
多重人格が起こる要因としては強いトラウマが挙げられますが、今のところそのような過去のある描写は見られません。しかし、シリーズ化するにあたって今後何か過去のトラウマが描かれるのかもしれませんね!
まとめ
いかがでしたか?今回は中山七里先生の「人面瘡探偵」についてまとめさせていただきました。
最後まで読んでいただいてありがとうございました!
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