こんにちは、きなこぬこです。
今回は森見登美彦先生の「四畳半神話体系」を読んだ感想についてまとめていきます。
今作は四畳半シリーズ1作目ですね!2010年には私役:浅沼晋太郎さん、小津役:吉野裕行さん、明石さん役:坂本真綾さんでアニメ化されています。
引用元:「四畳半神話大系」再放送決定!/2022年『四畳半タイムマシンブルース』アニメ化記念
さらに、続編である「四畳半タイムマシンブルース」は2022年9月30日からアニメ映画として3週刊限定で公開されることが決定しています!
引用元:『四畳半タイムマシンブルース』主題歌入り特報
あらすじ
大学生活の二年間を無駄に過ごし、気づけば3回生になっていた男子大学生の私。バラ色のキャンパスライフを夢見ていたものの、現実は四畳半のボロアパートに籠り悪魔のような友人の小津と共に阿保の行動を繰り返す日々。気になる黒髪の乙女、明石さんとの距離もなかなか縮まらない。こんなことになったのは1回生の春に選択したサークルが間違っていたからだと考え、別の選択をしていればもっと輝かしい生活をしていたと夢想する私。1回生の私が春に選んだサークルが異なる、4つのパラレルワールドが描き出される。
以下はネタバレを含みます。
感想
1回生の春にどのサークルを選択しても、主人公は今にも崩れ落ちそうな四畳半の幽水荘にこもり、悪行大好きなトラブルメーカー小津と仲良くなり、意中の黒髪の乙女との恋はなかなか進展せず……現状に満足できない主人公は、自分の1回生の春の選択が違っていたら輝かしいバラ色のキャンパスライフを手にしていたはずだと考え、他の選択をした自分に思いを馳せています。
今ここにある己を引きずって、生涯をまっとうせねばならぬ。その事実に目をつぶってはならぬ。
私は断固として目をつぶらぬ所存である。
でも、いささか、見るに堪えない。
各章の各パラレルワールドの主人公は、必ず上記のように考えています。現状の自分を認めたい。でも、私はもっと幸せになるポテンシャルを持っているはずなのに、現状は思い描いていたものとはかけ離れていて、認めるのが辛い。そして、現状に至った大きな原因は、1回生の時に選択したサークルが間違っていたことではないかと全ての主人公は考えています。どの世界線でも考えているということは、どんな選択をしたとしても主人公が納得することはないということですよね笑
そんな主人公は、ある日突然無限に広がる四畳半に閉じ込められてしまいます。あとがきでも触れられていますが、私も四方八方に正方形の四畳半の部屋が延々と続いていく様子が映画の『キューブ』みたいだなと思いながら読んでいました笑 もちろん移動する部屋ごとに食料も着替えもある今作よりも生命が危機にさらされているため緊迫感があり、スリル満点な映画です笑
この世界で無限に広がる主人公の可能性、そして並行世界の主人公の存在を知ることで、どの世界でも私は大きくは変わらないことに気付きます。そして、現状の自分と向き合い、自分の生きている世界線に腰を据えて生きていくことを決意することで四畳半地獄から解放されます。
主人公が自身の可能性を夢見て彷徨い最終的には現状と向き合う覚悟をするこの物語は、樋口師匠の以下の言葉で全て表されているのではないでしょうか。
我々の大方の苦悩は、あり得べき別の人生を夢想することから始まる。自分の可能性という当てにならないものに望みを託すことが諸悪の根源だ。今ここにある君以外、ほかの何者にもなれない自分を認めなくてはいけない。
人生は選択の連続であり、選択肢の数だけifがあります。ifの自分を想像して、その世界線で生きる自分は現状よりも幸せなのではないかと考えてしまうことは誰にでもありますよね……ですが、どんなに考えたところで現状の自分は変わりません。今まで選んできた選択肢で作り上げた現状の自分を、どんなに納得がいかなくても受け入れていくしかありません。そしてたとえ別の選択をしていても、同じように現状に不満を抱いて生きているのかもしれません。
この4つのパラレルワールドでそれぞれ現状に納得できずに悩んでいる主人公の姿を描いた物語は、現状を嘆くくらいなら今まで作り上げてきた自分と向き合ってみて、これからできる限りのことをして楽しく生きていくのが良いと語りかけてくれるように感じました。
まとめ
いかがでしたか?今回は森見登美彦先生の「四畳半神話体系」についてまとめさせていただきました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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