こんにちは、きなこぬこです。
今回は中野京子先生の「怖い絵 死と乙女篇」を読んだ感想についてまとめていきます。
今作は怖い絵シリーズ3作目ですね!
単行本では「怖い絵3」というタイトルでしたが、文庫化にあたりタイトルを変更したようです!
表紙の絵はレービンの『皇女ソフィア』です。ソフィアはロシアのロマノフ家の人物で、弟のイヴァン五世を皇帝の座へ就かせ、自らは摂政となった女傑です。この絵がどの場面の彼女の姿を描いているのかの説明はありますが、こんな顔で睨まれたら怖くて固まってしまいますよね……表紙を見る度にこの鋭く恐ろしい皇女様のご尊顔と目がかち合ってしまうので、表紙を伏せて机に置いていました笑
単行本
文庫本
以下はネタバレを含みます。
感想
このシリーズは安定した面白さがありますね!
今回も私が特に印象に残った作品を2作ピックアップして感想を書いていこうかと思います。
1作目は伝ブリューゲルの『イカロスの墜落』についてです。
有名な絵なのでご存知の方も多いかとは思うのですが、タイトルになっているイカロスが右下に小さく、溺れて藻掻く脚しか描かれていないのがまず一見して面白いですよね笑
解説ではハプスブルグ家の圧政下で生き延びるために「知らぬ存ぜぬ」を貫き自分の仕事を続ける民衆の姿を重ねているとの説明があります。確かに、イカロスが海に墜落して溺れているにも関わらず誰も視線すら向けていないですよね。わざと無視しているかのようにも見えます。
どんなに神話の神々が何をしてようが、日々を生きることに手一杯な一般的な人たちからすれば関係のない話なのかなと思ったりしました。
2作目がホガースの『ジン横丁』についてです。
こういう書き込みの細かい絵が好きなんですよね笑 たくさんの物語が散りばめられていて、ジッと眺めて楽しむことができます。一番手前の母親の腕から落ちる赤ちゃんに目が行きますが、画面の奥の方まで地獄絵図のような風景がひろがっています。
この画面自体は想像のものであったとしても、この時代のロンドンでは同じような景色が広がっていたかと思うと怖いですよね……何より、遥か昔の話ではないのが怖いです。
老若男女を問わず、ジンを飲まなければ生きていけない人々が破滅していく様子が描かれていて、一度見たら忘れられませんね。
収録作一覧
ここでは今作で解説されていた作品を紹介していきます。今作には全22作が収録されています。
以下は収録順になります。
作品1 『皇女ソフィア』 レービン
作品2 『ヴィーナスの誕生』 ボッティチェリ
作品3 『ヴィーナスの誕生』 カバネル
作品4 『フェリペ・プロスぺロ王子』 ベラスケス
作品5 『豆の王様』 ヨルダーンス
作品6 『聖アンナと聖母子』 レオナルド・ダ・ヴィンチ
作品7 『聖家族』 ミケランジェロ
作品8 『悪しき母たち』 セガンティーニ
作品9 『ベアトリーチェ・チェンチ』 伝レーニ
作品10 『メドゥーサの首』 ルーベンス
作品11 『仮面にかこまれた自画像』 アンソール
作品12 『夢魔』 フュースリ
作品13 『怒れるメディア』 ドラクロワ
作品14 『イカロスの墜落』 伝ブリューゲル
作品15 『かわいそうな先生』 レッドグレイブ
作品16 『ムーランの聖母子』 フーケ
作品17 『ケンタウロスの闘い』 ベックリン
作品18 『ファリネッリと友人たち』 アミゴーニ
作品19 『ジン横丁』 ホガース
作品20 『アンドリューズ夫妻』 ゲインズバラ
作品21 『マドリッド、一八〇八年五月三日』 ゴヤ
作品22 『死と乙女』 シーレ
……あなたが知っている作品はありましたか?
まとめ
いかがでしたか?
今回は中野京子先生の「怖い絵 死と乙女篇」についてまとめさせていただきました。
最後まで読んでいただいてありがとうございました!
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