【「ばくうどの悪夢」澤村伊智先生(ネタバレ注意)】理想の夢が悪夢?怪しい人物が登場!?あらすじ・感想・考察をまとめてみた!比嘉姉妹シリーズ6作目!

サスペンス

こんにちは、きなこぬこです。今回は澤村伊智先生の「ばくうどの悪夢」を読んだ感想・考察についてまとめていきます。

今作は比嘉姉妹シリーズ6作目ですね!シリーズ1作目の「ぼぎわんが、来る」第22回日本ホラー大賞を受賞しています!2018年には「来る」と改題されて、野崎昆役:妻夫木聡さん、比嘉真琴役:小松菜奈さんで映画化されています


引用元:TouTube

あらすじ

東京から父の地元の兵庫県川西市にやって来た中学生の片桐は、父の旧友で結成された片桐軍団のメンバーたちと家族ぐるみの付き合いをしていたが、なかなか馴染むことができずにいた。そんな中で片桐は毎晩の様に悪夢を見るようになり、目が覚めるとお腹に痣が出来ていた。片桐軍団の子どもである同級生の由愛たちも同じように悪夢を見ていることを知り父に相談すると、片桐軍団の一員でありオカルトライターの野崎と真琴の夫婦を父から紹介される。真琴が作ったお守りによって悪夢から解放され、同級生たちとの距離が近くなったのも束の間、再び悪夢で眠れない日々が始まってしまう。

以下はネタバレを含みます。

感想

比嘉姉妹シリーズの長編としては3作目の今作ですが、これまでのシリーズと同様に登場人物たちの気持ち悪い部分や心の汚い部分がこれでもかという程に深堀りされていましたね!何よりも怖いのが、片桐の都会に出た人間が地元を少し下に見る感じ誰もが羨む理想の自分でありたい気持ちなど、誰もが少しは持っているかもしれないけれど目を逸らしている誰かにマウントを取って自分の優位を保ちたいという欲望が、片桐の姿を通して読者の中にもあるということを認識させて来るのがえげつないなと思いました笑

今作では前半で描かれていた片桐少年の世界は大人の片桐が理想としている虚像の世界であり、中盤に突然大量殺人を犯して瀕死になっている現実に片桐は戻ってきます。そこから視点が変わり、病院で片桐が大量殺人を犯すまでの過程やその後の夢を見せる怪異の恐ろしさが描かれていきます。

比嘉姉妹シリーズで登場する怪異は圧倒的な力を持っていて恐ろしく感じるのですが、毎回怪異よりも人間の恐ろしさが印象に残りますよね。片桐は幼少期の栄光や周囲からの期待、理想の自分の姿が、現在の社会的立場や自身の姿で齟齬が生じ、そのズレを解消したり受け止めることができなくなって大量殺人を犯してしまいます。彼は失うものがない、いわゆる「無敵の人」なのでしょう。正直ばくうどよりも何よりも、片桐の歪んだ認知や異常な程の自己愛が怖すぎます……実家に帰省する人が多い年末年始の前に今作を発売するところも意地の悪さを感じますね笑

今作は夢の世界と現実の世界が描かれていますが、どこからどこまでが夢なのか境界線が分からないところも非常に面白かったです!夢の中でもさらに夢を見せて現実と混同させることで、読者としても振り回されて楽しかったです!

いつも圧倒的強さで怪異をねじ伏せ真琴と野崎を救ってきた琴子の、普段は見せない弱い部分が描かれていたことも印象的でした。比嘉家の状況から家族を守るために琴子が強くなるしかなかったことを鑑みると悲しいですね……琴子を救うために夢に入った真琴が夢に囚われたままになってしまったので、今後どうなるのか気になりますね!

個人的には不思議な発言をしていたい看護師が何者なのかも気になります。夢に干渉していたので何等かの霊能力を持っていたりするのでしょうか?彼女の言っていた「ドゥビエスキ男爵夫人」を調べてみたもののよくわからず仕舞いでした。真琴が入院しているので、次作以降で彼女の正体が明かされるのでしょうか?

シリーズでも急展開だった今作、続きが待ちきれませんね!

考察

謎の発言をする看護師は何者?!

個人的には不思議な発言をしていたい看護師、堺が何者なのかが非常に気になっています。その意味深な発言や行動から今回だけの登場ではなく、次巻以降も登場するのではないかと考えています!

今作の堺の発言で一番印象的なのが片桐で繰り返していた「ゴランナサイ、コレガ、ヒトゴロシデス」という言葉ですよね。この言葉を片桐の手術中にも発していたということで、現実と片桐の夢の世界の行動が一致しているんです。同じように片桐の夢の世界に干渉して現実の行動と一致させている人物は琴子のみです。夢に入り込もうとしたものの子どもたちの力を借りなければならなかった真琴のことを考えると、堺は琴子と同等レベルの能力を持った人間なのかもしれません。

彼女の言っていた「ドゥビエスキ男爵夫人」についても調べてみたもののよくわからず仕舞いでした。この言葉の真意も結局よくわかっていませんが、野崎が怒っていることから彼らの状況を揶揄するような発言だったみたいですね。少なくとも比嘉姉妹や野崎に対して協力的とは言えない様子でした。

真琴が入院しているので次作以降で深堀りされることを期待しています!果たして彼女は何者なのでしょうか?比嘉姉妹シリーズでは物語ごとに異なる怪異と戦っていたため、主要な登場人物は比嘉姉妹と野崎のみになっています。もしかしたら彼女が今後シリーズのヴィラン役を担ってくれるのかもしれませんね!

まとめ

いかがでしたか?今回は澤村伊智先生の「ばくうどの悪夢」についてまとめさせていただきました。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

比嘉姉妹シリーズの他の作品はこちら!

1作目「ぼぎわんが、来る」

2作目「ずうのめ人形」

コメント

  1. 来ない より:

    冒頭で紹介されていた映画「来る」ですが、野崎役は岡田准一さんで、妻夫木さんが演じていたのは「イクメンパパ」秀樹さんです。気になったので、差し出がましいようですがコメントさせていただきました。

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