こんにちは、きなこぬこです。今回は松岡圭祐先生の「écriture 新人作家・杉浦李奈の推論Ⅲ クローズド・サークル」を読んだ感想・考察についてまとめていきます。
今作はécritureシリーズ3作目ですね!
あらすじ
中盤の劇的な転調によって全く異なる雰囲気の前半と後半の内容が見事に融和する、稀有な才能を持った新人作家・櫻木沙友理の登場で、出版業界は沸いていた。彼女が本を出している出版社が第二の櫻木沙友理を発掘するために新人作家の募集をすることを知った杉浦李奈は、同じく新人の那覇優佳と共に選考に臨む。多くの応募者の中から合格を勝ち取った二人は、同じく合格した新人作家や櫻木と共に瀬戸内海に浮かぶ孤島に招待される。しかし、島にいるはずの櫻木は夜になっても姿が見えず、初日の夕食の席で櫻木の担当編集者が何者かに毒殺されてしまう。一同がパニックになる中、李奈と優佳はこのクローズド・サークルから生きて帰ることができるのか。
以下はネタバレを含みます。
感想
今作はこれまでの李奈がノンフィクションを執筆するために駆けまわる過程を描いた展開とはガラッと変わり、離島という閉塞的な空間に閉じ込められるという典型的なクローズド・サークルでしたね!途中まではパニックもののような雰囲気で、お互いに疑心暗鬼になったり協調性に欠ける行動をする人物が現れたりしながら、櫻木沙友理という圧倒的で猟奇的な相手に対してそのように交渉していくのかが物語の中心となっていましたが、小説家たちがひとりずつ姿を消してしまうあたりから物語がミステリーものにシフトしていきます。そして、最終的には櫻木沙友理の実在が論点になっていきます。
一度目の李奈の推理もそこまでに張り巡らされていた伏線を見事に回収し納得できるものだったので、まんまと騙されてしまいました。李奈と優佳以外の新人作家たちが談合していたという真相には驚かされましたが、全員が嘘をついていないと成立しない部分が読み進めると増えていったためまだ予想の範囲内でした。それよりも、一度は存在しないと結論づけられた櫻木沙友理が実は実在しており、彼女も被害者だったというのは全く考えていなかったので驚かされました。
écritureシリーズでは本に関する事件がピックアップされてきましたが、今作は特に新人作家たちの辛い境遇が描かれていましたね。鳴かず飛ばずと自称する李奈や優佳ですが、確かに大手のKADOKAWAで自著を出版できているという点では新人作家の中では比較的恵まれているのかもしれません。
それにしても日本中でブームを巻き起こした日本三大奇書にも匹敵する程の狂気を持った櫻木沙友理の著書、是非読んでみたかったです笑
まとめ
いかがでしたか?今回は松岡圭祐先生の「écriture 新人作家・杉浦李奈の推論Ⅲ クローズド・サークル」についてまとめさせていただきました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
コメント
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