【「écriture 新人作家・杉浦李奈の推論Ⅱ」松岡圭祐先生(ネタバレ注意)】李奈にとって本を読むこと・書くことは何なのか?あらすじ・感想をまとめてみた!écritureシリーズ2作目!

ミステリー(国内)

こんにちは、きなこぬこです。

今回は松岡圭祐先生の「écriture 新人作家・杉浦李奈の推論Ⅱ」を読んだ感想についてまとめていきます。

今作はécritureシリーズ2作目ですね!

あらすじ

推理作家協会の懇親会に参加した新人ラノベ作家の杉浦李奈と同じく新人作家の那覇優佳は、流行作家の汰柱桃蔵と出会い、編集者たちと共に自宅へ招待される。数日後、李奈は実際の事件を基にした汰柱発売前の最新作『告白・女児失踪』が犯人しか知り得ない内容を含んでおり問題になっていること、そして懇親会の夜から汰柱が行方不明になっていることを知る。姿を消す前の汰柱に最後に会った人間として、またもやノンフィクションを書くことを提案された李奈は、実際の事件と問題の作品の制作に関わった人々の調査を始める。

以下はネタバレを含みます。

感想

今作はかなりミステリー味が強い作品でありながら、本の制作過程と実際の事件の謎のどちらか一方に偏ることなく、ふたつの要素を見事に絡めていてとても面白かったです!特に本好きとしては本の制作過程がとても詳細に紹介されていて興味深かったです!一冊の本が出版されるまでにはたくさんの人が関わっていることが良く分かりますよね。

前作で取材の要領を得た李奈は前作と比較するとかなりスムーズに取材を進めていきます。情報を得るための交渉もかなり上達していましたね!しかも、前作では担当編集にせっつかれて仕方なく……と言った様子でしたが、今作は自分から積極的にノンフィクションを書き上げようとしていましたね。事件の被害者である亜矢音のお母さん・祥子が本を好きなままでいられるように、という強い想いを持って李奈が取材に臨んでいたことが感じられて、事件の犯人の他人に罪を擦り付けようとした狡猾さや卑怯さが殊更醜くみえました。

小説家はただ売れるためだけに本を書くことが目標なのか、本は商品であり、文芸としての内容ではなく売れ行きのみが評価基準であるのか――今作では李奈はこの問いをずっと抱きながら取材を進めていきます。そんな李奈は、出来上がったノンフィクションを真っ先に祥子に読んでもらいます。そして自身の作品をラノベであると自虐する李奈に対し、祥子は「名著です。あなたが書くのなら」と答えます。このやりとりで李奈は、自分が本を書くのは、そして本を読むのは、目に見えない感情を写し取った本を通じて人と触れ合うためであることに気付きます。こうして一層文学を好きになった彼女の、次なる成長が楽しみですね!

快活な雰囲気の優佳や、密かに(?)李奈に想いを寄せている曽埜田は次回作以降も登場してくれるでしょうか?是非とも李奈の小説家仲間である彼らの活躍も見てみたいです!

まとめ

いかがでしたか?今回は松岡圭祐先生の「écriture 新人作家・杉浦李奈の推論Ⅱ」についてまとめさせていただきました。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

écritureシリーズの他の作品はこちら!

1作目 「écriture 新人作家・杉浦李奈の推論」

3作目 「écriture 新人作家・杉浦李奈の推論Ⅲ クローズド・サークル」

4作目 「écriture 新人作家・杉浦李奈の推論Ⅳ シンデレラはどこに」

5作目 「écriture 新人作家・杉浦李奈の推論Ⅴ 信用できない語り手」

コメント

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