こんにちは、きなこぬこです。
今回は今村昌弘先生の「魔眼の匣の殺人」を読んだ感想・考察についてまとめていきます。
剣崎比留子シリーズの2作目ですね!
前作の「屍人荘の殺人」は2019年12月に葉村譲役:神木隆之介さん、剣崎比留子役:浜辺美波さん、明智恭介役:中村倫也さんで映画化されていましたね!今作の映画化は未定(2021.7.30時点)ですが、期待したいですね!
ミヨカワ将先生によって漫画化もされていたみたいです!
前作でもかなり特殊な設定のクローズドサークルでしたが、今回もなかなか特殊な設定下でのミステリーでしたね!
剣崎比留子シリーズのまとめ記事はこちら!
あらすじ
羽村と剣崎は、以前巻き込まれた集団感染テロ事件の黒幕である班目機関を追っていた。ある日、オカルト・ミステリー関連の記事を扱う月間アトランティスに、感染テロ事件の予言とM機関の言葉が書かれた記事が載っていることを見つけた。記事に書かれたM機関の研究機関があると予想される好見へと向かった二人は、不思議な高校生十色と茎沢や元住人の朱鷺野、獅々田親子とツーリング中の王子、そして月間アトランティスの記者臼井と出会い、魔眼の匣と呼ばれる建物に辿り着く。しかし、翌日からの2日間で好見で男二人女二人が死ぬと予言されていて……
以下はネタバレを含みます。
感想
オチがすごい……!全然見破れなかった!個人的には前作より好みのラストでした!
確かにサキミの毒殺未遂は他の殺人らしい事件と少し違うような感じはしましたが、全く別件だったとは……!しかも、そもそもサキミはサキミじゃなかったなんて……凄まじい入れ代わりでしたね!
本物の祖母に会えたと思って喜んでいた十色が可愛そうでなりません。祖母だと思って遥々遠方までやってきたのに、サキミは自分の祖父母を恨んでいる赤の他人で、十色を事件に巻き込んで殺そうとしていただなんて……十色の気持ちを考えるとやるせないですね。まぁ、元を辿れば彼女の祖父母が悪いのですが……そうは言っても彼女に罪はありません。
それにしても、クローズドサークルもので何故お互いを監視しないのかについて、具体的に結論を書いてくれていて面白かったです笑 確かに同じ空間に人殺しがいるとなると、常に緊張感を持って周囲の人間を見続けないといけないので大変ですよね笑
あと、序盤で獅々田がかなり嫌な奴だったので殺されるんじゃないかと勝手に思っていたのですが、生き残った上に最後の方は良い人になってましたね!笑
班目機関の有力な情報はまだまだ得られていませんが、今後剣崎と葉村はどのように立ち向かっていくのでしょうか?続きが待ちきれませんね!
考察
比留子という名前の意味は?
今作では「比留子」という名前について、少し話題になっていましたね。私も前作からこの名前が少し怖い感じがしていたので、今回は比留子さんの名前について考えていきたいと思います!
師々田が話題に出した比留子という名前なのですが、 師々田 が話したように蛭子(ヒルコ)は伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)の第一子ですが、ヒルのように骨のない身体に生まれたせいで葦の船に入れて流された、あまり縁起が良いとは言い難い神様です。
比留子さんが話したように後々漁業の神で福の神である恵比寿と同一視されるようになるため縁起が良いといえなくもないですが……やっぱり普通は子どもにつける名前ではないと思うんですよね。
事件を引き寄せてしまう体質のせいで勘当状態の比留子の状況は、異形であることで親から忌まれて流された蛭子と重なるものがありますよね。
また、葉村が連想した血を吸う「ヒル」も、人の血を吸うことから、血の流れる事件を引き寄せる比留子のことを表していると考えられます。
以上のことから、比留子という名前は「蛭子(ヒルコ)」と「ヒル」のダブルミーニングなのでしょうね。
ここからは根拠のない想像になてしまうのですが……
恵比須は外来の「夷」を意味するらしく、もしかすると比留子は養子の可能性があるのではないか?と考えました。また、これは私の希望的観測になりますが、上述したように蛭子は恵比須となることから、比留子は最終的に彼女を苦しめている特殊な体質、事件を引き寄せてしまう体質から解放される可能性があるのではないか?と思いました。
エリカの花言葉と二人のサキミ
作中に何度も登場するエリカの花ですが、その花言葉は朱鷺野が話したように「裏切り、孤独、寂しさ」と、かわいらしい見かけとは裏腹にネガティブなイメージの言葉が並びます。しかし、調べてみると花言葉はこれだけではありませんでした!
エリカの他の花言葉には「幸福な愛、良い言葉、幸運」と、ポジティブな言葉もあるんです!
ただ、このポジティブな言葉はサキミと入れ代わった岡町には合いません。この言葉は、本物のサキミに似合うものでしょう。本物のサキミは、恋に落ちた十色勤と共に匣から抜け出して、自由を手に入れ幸せに暮らしています。
一方サキミと入れ代わった岡町は、匣に閉じ込められて何十年も十色を信じて待つも裏切られ、孤独を抱えて生きてきました。
このことを考えると、作中に何度も登場したエリカの花は、裏切られて孤独に生きるサキミの振りをした岡町と、幸せな愛を手に入れた本物のサキミの二人の対照的な女性を表したものだったのでしょうね。
葉村が「ワトソンにならなければいけない」理由とは?
たとえ彼女が俺のホームズでないとしても。
俺は、彼女のワトソンにならなければならない。
葉村は前作の最後で、剣崎のワトソンになって欲しいという誘いを断っています。しかし、今回は一転してワトソンにならなければと上記のように決意しているんですよね。これは何故なのでしょうか?
今回の事件で剣崎が最も優先したもの、それは葉村の安全でした。そのためには、犯人を含めた他の関係者、自分でさえも危険に曝すことを厭わない様子でした。
葉村が考えるホームズ像とは、おそらくは亡き明智のように同じ立場で共に事件に立ち向かう探偵なのではないかと思います。しかし、剣崎にとって葉村は守る対象であり、共に戦う仲間ではないのです。このことから、剣崎は葉村に対して自身が「ホームズになれない」と話しているのでしょう。
そして葉村は、ワトソンとは探偵と共に並び立ち、どんなに危険な事件でも共に立ち向かう存在だと考えています。しかし、剣崎が葉村を守ろうとしたことに気づいてしまいます。
だからこそ葉村は、剣崎に守られる存在ではなく、剣崎と共に事件に立ち向かう存在になりたいと思い、「ワトソンにならなければならない」という言葉に繋がったのでしょうね!
彼らがお互いに本物のホームズとワトソンになることができるのか、今後の展開が楽しみですね!
まとめ
いかがでしたか?今回は今村昌弘先生の「魔眼の匣の殺人」についてまとめさせていただきました。
最後まで読んでいただいてありがとうございました!
コメント
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