こんにちは、きなこぬこです。
今回は凪良ゆう先生の「滅びの前のシャングリラ」を読んだ感想・考察についてまとめていきます。
2021年本屋大賞ノミネート作ですね!
「流浪の月」の記事はこちら
あらすじ
「一ヶ月後、小惑星が衝突し、地球は滅びる」――冗談のようなニュースと、混乱に陥る人々。滅亡の比嘉ちかづくのつれてどんどん荒んでいく人々の心と世界。そんな中、学校でいじめを受けていた江那友樹は、長年片思いしていた美少女、藤森雪江を守るために東京へ向かう。滅亡の時が刻々と迫る中、彼らはどう生き抜くのか。
以下はネタバレを含みます。
感想
普通ならありえない(と思っておきたい)特殊なシチュエーションですが、何となく日々を消化してしまっていることに対して考えさせられる作品でした!
1人の人間にフォーカスするのではなく、異なる立場の、様々な思いを抱えて生きてきた人々がそれぞれ自分に残された時間を精一杯生きていて、むしろ時間が限られているからこそ自分らしく生きることができていて、とても感動しました!
後の考察でも書きますが、人生において自身の最期の時を選択できるというのは、ある意味とても幸せなことなのだと思います。
とはいえ、明日死んでも大丈夫!私は自分の人生を精一杯生き抜いたぞ!って気持ちで日々生きていきたいものですね!
もしも私が作中の世界で世界の滅亡に巻き込まれてしまうなら、急いで積読を消化して大切な人と一緒に過ごしたいですが……絶対に一か月で読み切れない量が積んであるので意地でも生き延びたいです笑
考察
最期の瞬間を選び取る
以下は友樹の言葉です。
怖いに決まってるだろう。でもこうなる前の世界より、ぼくはずっと自分が好きなんだ。前の世界は平和だったけど、いつもうっすら死にたいと思ってた。
(中略)
あのままの世界だったら長生きできたかもしれないけど、こんな気持ちは知らないまま死んでたかもって思う。
世界の滅亡が決まるまでの友樹は、いじめにあいながらも抵抗せずに自分の世界に逃げ込んで耐え続けていました。ですが、藤森さんを守ると決めて東京に行って、いじめられていた同級生を殺してでも彼女を守るという覚悟を手にして、結果最期まで守り抜くことができました。
もちろん、様々な幸運と支えてくれる人がいましたが、それは彼が頑張ったからついてきた結果ですよね。
作中で描かれている人物で、良い方向へ最も大きく変わった人物ですね!
頑張って生き抜いたところで世界は終わってしまう。逃れようのない運命の中で、自分の残り一か月の命を好きな女の子を守るために使うと決めた彼は本当に強い人物です。
しかも彼は最期の時はちゃんと藤森さんと過ごしているんです!胸アツですね!
ところで、あと一か月で死ぬと言われたらどうしますか?
何もありえないことではありませんよね。誰だって、余命の宣告を受ける可能性があります。
そんな時、自分らしく最期まで生き抜くことを決められますか?
この物語は、登場人物たちが強い意志を持って最期の日まで生き抜く様子を通して、「あなたは今をちゃんと生きてるの?」と問いかけてきているように感じました。
看護師をしているので、亡くなる方を看取った経験が多々あります。そして、自分が望んだ最期の時を過ごせる人が多くないことを知っています。
だからこそ、今この瞬間を自分らしく生きるために全力を尽くすべきだと語りかけられているように感じました。
藤森さんが抱くLocoへの憧れ
ハワイで出会ってからLocoのファンになった藤森さん。
作中でも中盤まで冷めたイメージだった彼女ですが、Locoにかなり熱中していましたね。
藤森さんは養子として家に引き取られ、何不自由なく育つも、本当の両親ではない家族と家族になりきれていないと思い、孤独や寂しさ、本物の家族の繋がりを求めていました。
一方Locoは、トップスターに駆け上がったものの、ずっと何かに満たされませんでした。家族や友人と再会した時の様子から、人のぬくもりを求めていたのではないかと予想できます。
二人とも、人とのつながりに満たされないものを持っていました。
藤森さんはLocoとハワイで出会った時、きっとその心に空いた穴を見抜き、シンパシーを感じたんでしょうね。
Locoの寂しさを自身の寂しさに重ねて、共感していたのでしょう。
最後に再開した二人は、お互い大切な人とのつながりを持てた後でした。こうして見ると、二人に立場は全く異なるとはいえ、かなり似通った存在ですね。
まとめ
いかがでしたか?
今回は凪良ゆう先生の「滅びの前のシャングリラ」についてまとめさせていただきました。
最後まで読んでいただいてありがとうございました!
コメント
[…] 最期の瞬間を選択する物語!藤森がLocoに惹かれる理由について考察してみ… […]
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