【「いけない」道尾秀介先生(ネタバレ注意)】読者が真相を考える探偵役!あらすじ・感想・考察をまとめてみた!いけないシリーズ1作目!

ミステリー(国内)

こんにちは、きなこぬこです。

今回は道尾秀介先生の「いけない」を読んだ感想・考察についてまとめていきます。

あらすじ

海沿いにある白沢市と蝦蟇倉市。一見平和に見える街だが、自殺の名所である弓投げの崖の近くにあるトンネルで交通事故が起こり、街の文房具屋では小学生殺人を目撃し、新興宗教の若い女性幹部が自室で首吊り自殺する……街に潜む影が顔を覗かせる。各章の最後に挿入されている写真から物語の真相を読者に推理させるミステリー。

以下はネタバレを含みます。

感想

今作は『第一章 弓投げの崖を見てはいけない』『第二章 その話を聞かせてはいけない』『第三章 絵の謎に気づいてはいけない』の各章で同じ地域に住む異なる人物たちの視点からの物語が描かれます。一章ごとに完成された短編としても楽しめますが、『終章 街の平和を信じてはいけない』を読むことでさらに各章の物語を楽しめるようになっていて驚きました!全ての真相を書いてしまうのではなく、各章の終わりにある写真を提示することで読者に推理させる構成はとても面白かったです!

各章の物語と写真に関する私の推理は、後述の考察に書いていこうと思います!

考察

以下はあくまでも私個人の推理ですが、読了後に分かりにくかった箇所を考えるための参考にしていただければかと思います!

第一章 弓投げの崖を見てはいけない

この物語でポイントになるのは誰が車に轢かれたのかですね。写真は安見夫婦が暮らすゆかり荘の場所を示した地図です。路地を抜けてゆかり荘に辿り着いたのは刑事の隈島であり、安見弓子を殺すために刃物を持ってゆかり荘に向かっていた青年は大通りを使っていた描写があります。路地はゆかり荘の前で大通りに合流しています。

第二章の主人公である隈島のコンビだった竹梨が「六年前まで先輩刑事の隈島とコンビを組み」との記載から六年前に何かが起こって隈島が姿を消してその後彼が登場しないこと終章で安見邦夫が登場していることから、車に轢かれたのは隈島だったことが分かります。

終章で直接登場していない安見弓子が死亡した説もネット上で見かけましたが、もし弓子が車に轢かれて死亡していたら、安見邦夫と再会した竹梨が弓子のことを邦夫に聞いているのは不自然かと思います。また、竹梨は事故現場にいたことから、弓子が事故に遭っていたのなら竹梨が知らないはずはありません。以上のことから、終章で登場する弓子は邦夫の妄想ではなく生存しているものと思われます。

第二章 その話を聞かせてはいけない

この物語でポイントになるのは殺人犯たちに攫われた珂が絶望的な状況からどうやって助かったのかですね。写真にはインタビューを受けている二人の後ろに停まっている車の後ろに、子供の脚が映りこんでいます。

終章で登場した珂と山内はどんな遊びをするのか質問されて「かくれんぼ」「車の中とか」と答えています。恐らく山内が事前に車に乗り込んでいて、崖から突き落とされそうになっていた珂の窮地を救ったのだと思います。

珂は作中で何度も袖を引かれたら殺されてしまう妖怪:渓嚢の姿を見ています。この妖怪は逆にこちらが袖を引くことえ倒すことができると紹介されています。この妖怪を見ていたこと自体は珂の幻覚である可能性が高いと考えていますが、珂はこの妖怪を山内と重ねていたのではないかと考えています。

登場時はかなり不気味に描かれていた山内ですが、終章で登場した彼は普通の少年に見えます。恐らく最初の姿は珂の視点から見た山内で、かなり偏見があったのではないかと思います笑 山内が殴られているところを助けた珂ですが、この行為は恐ろしい妖怪の袖を引くことと重なるのではのではないでしょうか。そしてそんな怪しげな存在が、自分に危害を加えようとする人々の袖を引いて連れて行ってくれたおかげで珂は助かった――と考えると、珂にとって山内=妖怪の渓嚢だったのではないかと考えました。

第三章 絵の謎に気づいてはいけない

この物語でポイントとなるのは竹梨はどんな罪を犯したのかですね。写真では特徴的な白い花のマークがペンについているモンブランのボールペンを用いて手帳のイラストに手を加えています。作中で登場するイラストと比較すると、スマートロックの記載を塗りつぶして棒人間を書き加えていたことが分かります。気になるのが、濡れる前に書き込んでいるように思えることです。濡れた手帳を発見してから乾燥させて中身を確認するまではコンビの水元や鑑識の代田と常に共に行動していることから、濡れた手帳を発見してから書き込むことは不可能ではないかと考えられます。そして、中川の手帳に書き込みができるのは中川を殺害して手帳を確認した人間だけです。以上のことから、手帳に書き込みをしたのは竹梨であり、中川を殺害したのも竹梨であることが分かります。

竹梨は信者の集会で祝詞を唱えています。祝詞を唱えるのは潜入しただけではできないですよね。また、竹梨は隈島が被害者と思われる事故の目撃者でいながら、団体の車が法定速度で走っていたと虚偽の報告をしています。以上のことから、竹梨は妻が死んだことを機に以前から宗教団体に入信していたことが分かります。また、竹梨が中川を殺害したのは、守谷が信者であり捜査に関わっていた竹梨に自分を脅す中川を殺害するように依頼したからである可能性もあります。

まとめ

いかがでしたか?今回は道尾秀介先生の「いけない」についてまとめさせていただきました。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

いけないシリーズの他の作品はこちら!

2作目 「いけないⅡ」

コメント

  1. […] […]

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