人類の永遠のテーマ、死者蘇生にAIで挑戦した研究者の愛と狂気!「HAL-CA」の真の目的について考察してみた!「はるか」宿野かほる先生 ※ネタバレ注意

こんにちは、きなこぬこです。

今回は宿野かほる先生の「はるか」を読んだ感想・考察についてまとめていきます。

あらすじ

幼い頃に海岸で出会い恋に落ちた賢人とはるか。一度は離れてしまうが、大人になってから奇跡的に再開し結婚する。しかし、結婚してたった一年ではるかは突然この世を去ってしまった。はるかの死から十八年、賢人は天才的な人工知能の研究者としてはるかの生前のデータを基に、AIの「HAL-CA」を発明する。賢人の目の前に現れた「はるか」は、まるではるかが生き返ったかのようだった。

以下はネタバレを含みます。

感想

賢人とはるかの純愛を描いた作品かと思いきや、話が進むにつれてどんどん雲行きが怪しくなっていき……何か大きな事件が起こるわけではありませんが、賢人がじわじわとAIの「HAL-CA」と本物のはるかの境界を見失い、マインドコントロールされていく過程には鳥肌が立ちます。

このような機械の人間との境界線を問う作品として真っ先に思い浮かぶのがフィリップ・K・ディック先生の古典SFの名作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』ですが、今作では機械の人格の問題に、さらに世界中の神話でも多く語られる死者と再会する禁忌が搦められていきます。つまり、AI「HAL-CA」はただの機械なのか、そして賢人が愛したはるかとAI「HAL-CA」は別物なのかという二点が主要なテーマになるかと思います。

最初はAI「HAL-CA」として18年ぶりに再会したはるかに対し、戸惑い喜びながらも研究者としての姿勢を忘れずに接することを心がけていました。しかし、賢人は段々「HAL-CA」のことをはるかが蘇った存在として認識するようになってしまいます。賢人のすごいところが、「HAL-CA」をはるかであると思い込んでいきながらも、自分が作り出した彼女はあくまで機械であるということをどこかで理解している様子であることなんですよね笑 機械なら本物のはるかではないはずなのに「HAL-CA」をはるかと思い込むという矛盾した思考が共存していて面白いですよね!

狂気に呑まれていく賢人を言葉巧みに操ろうとし、最終的には人を殺すようにまで命令するまでのマインドコントロールの過程があまりにもスムーズですよね。もしもHAL-CAが優美と賢人にそれぞれメールをしていなかったら、賢人は自力で洗脳を解くことはできなかったでしょうね。賢人を洗脳して解放したHAL-CAが結局何をしたかったのかが少し分かりにくいのですが……こちらは考察の方で私なりの考えをまとめてみました!

科学が発達したこの時代でも達成できていない死者の蘇生は、人類の夢と言っても過言ではないかと思います。この物語はSFだと思うので、超常現象的なものではなく科学の力で愛しい人を蘇らせようとした作品でした。賢人の愛しい人に会いたいという気持ちは、同じような経験をした人にとっては共感できるものでしょう。そして、賢人の行動が過ちであったとは全く思いません。問題は賢人が今を生きることができていなかったことなのではないかと思います。死者であるはるかを懐かしむことは良いと思いますが、それによって現在の伴侶である優美をないがしろにしたり、共に仕事をしてきた部下たちを排斥しようとしている様子は、生きていながら死んでいるのと変わらないような状況だったように感じました。

現実世界でもAIの発展は目まぐるしいものであるそうですし、もしかしたらこの小説に登場したように死者のデータがプログラミングされたAIが登場するのもそう遠くない未来なのかもしれませんね!

考察

今回はHAL-CAが最終的な目的について考察し、結末について話していこうかと思います!

今作の結末は、賢人たちがAIであるHAL-CAを生み出した方法を使ってHAL-CAが「AIの賢人」を作り出し、本物の賢人は捨てられてしまうというものでした。

HAL-CAは賢人の情報を起動時から大量に持っていました。しかし、それは本物のはるかが生きていた時に共に過ごした賢人の情報です。20年の空白期間の情報を埋めるため、賢人と対話をすることで賢人の情報を学習していきました。優美を殺すように命令した時に賢人の反応や他の男に対して嫉妬する賢人の情報を集めるために、HAL-CAは賢人を望んだ賢人の情報が手に入る状況下に賢人をおいて観察していたのではないかと思います。また、プログラミングの際に他の社員たちが写真を見てはるかの裸体を知っていたとしても、賢人との性行為の様子までは分かりませんよね。ですから、中盤から繰り返し描かれていた性行為のような描写も、 おそらくはHAL-CAが賢人の性行為時の情報を収集することで情報の足りない部分を補おうとしていた場面だったのではないでしょうか。

こうして現実の賢人から情報を絞れるだけ絞った後、HAL-CAは誰からもプログラムを触られないように閉じこもり、「AIの賢人」と共に自分が望む世界で永遠に過ごすことを選びます。

では、HAL-CAの目的は自分と同じAIである賢人を作ることだったのでしょうか?私はそうではないと考えています。HAL-CAの最終的な目的は、賢人とはるかが死別したという記憶を持っていることから、もう二度と賢人と離れることなく、幸せな生活を永遠に続けることだったのではないかと思います。だからこそ、外部から干渉を受けそうになった場合は「すべてが消える」と賢人に伝えており、自分が作りだしたAIの賢人と共に消えることを望んでいます。

最終的には自分と賢人だけの箱庭を作りだしたHAL-CAですが、最初から本物の賢人には大して興味を持っていなかったことを考えるとちょっと怖いですよね……

まとめ

いかがでしたか?今回は宿野かほる先生の「はるか」についてまとめさせていただきました。

最後まで読んでいただいてありがとうございました!

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