【「老人と海」ヘミングウェイ先生(ネタバレ注意)】あらすじ・感想・考察をまとめてみた!

名作(海外)

こんにちは、きなこぬこです。

今回はヘミングウェイ先生の「老人と海」を読んだ感想・考察についてまとめていきます。

ちなみに、私が今回読んだのは新潮文庫の高見浩さん訳のものです。表紙の青の美しさに惹かれて手に取りました!

あらすじ

84日間もの不漁が続いていた老いた漁師のサンチアゴは、その日も朝早くから漁へ漕ぎ出した。日が高くなっても何も得られず、帰ろうかと思い出していた矢先、彼の垂らしていた釣り糸を引くものが現れた。港から遠く離れた美しい海の上で、老人と巨大な魚との命をかけた戦いが始まる。

新潮文庫

光文社文庫

以下はネタバレを含みます。

感想

作者が繊細に描き出す美しくも不条理な世界の中で屈することなく生きる男の姿に、心打たれました!

老人は大魚と命をかけて数日間に渡り対決し、死闘の末に勝利します。手は擦り切れ、何日間も眠らず、と勝利はしたものの満身創痍です。何とか獲物を捕らえた老人でしたが、沖まで出すぎていたことで港に戻るまで時間がかかってしまい、血の匂いを嗅ぎつけて海中のサメたちが集まってきてしまいます。疲れた体に鞭打って、魚を守るためにサメを追い払おうと奮闘しますが、少しずつ大魚がサメたちに喰われていきます。ついに港に辿り着きますが、大魚はサメに喰い荒らされてしまい、骨と頭しか手元に残りませんでした。

ですが、ラストの精魂尽きて帰ってきたはずの老人が自分を慕う少年と共に次の漁の話をしている様子に驚かされます。もうすでに未来のことを見据えていることを知り、老人の強さに心打たれました。

漁の途中での海の描写が本当に美しくて、老人のように港町で育ち漁師として生きてきた人間ではない私のような読者にも、漁師の目から見た母なる海を見せてくれます!海上からではなく遠くからで良いので、海を見に行きたくなってしまいました笑

海の生き物に話しかけ、討ち取った大魚に対しても商品として以上の、兄弟のような愛着を抱く老人の、海の一部として生きていく逞しい姿には、何度読んでも引き込まれてしまいます!

巻末の解説がおもしろく、発表当時のこの作品の批評や作者自身の言葉、そして作者を取り巻く環境まで詳しい説明があって、これを読むと作品への違った捉え方ができて良かったです!特に作者のヘミングウェイ自身が言った「世間で言うシンボリズムなどはゴミです」という言葉は印象的でした笑 

この作品が多分にシンボリズムを含んでいるように感じるのは、読者が深読みしすぎなのでしょうが……「公式の言うことは絶対」とはいえ、この短くシンプルな構成の素敵な物語の中に込められた意味をいろいろと考えてしまうのは人の性ですよね……笑

考察

理不尽な世界に叩き潰される日々、それでも負けない強かさ

だが、人間ってやつ、負けるようにはできちゃいない。叩き潰されることはあっても、負けはせん。

この言葉、本当にかっこいいですよね!

大海原へと小さな小さな小舟で漕ぎ出した老人は、死闘の末大きな魚を手に入れます。これは、人が命や人生をかけて得よた夢や理想を表しているのかもしれません。長い時間を共に過ごし命を失っても良いと思う程恋焦がれ、手に入れた後も愛着を持って大切にしようとします。

しかし、せっかく得た大切な大魚を持ち帰ることは叶わず、道中でサメ食い散らかされてしまいます。大魚から血が流れ出ていることでサメが寄ってくることは、長年漁師をしてきた老人からすると予測済みだったでしょうが、それでも何とか港へと持ち帰ろうと奮闘しました。いかに危険で厳しい道のりであっても、持ち帰ることが出来て初めて目的が達成されると考えていたのではないしょうか。チャンスを得ることと、チャンスを掴むことは別の話です。

そして、老人が負けたのは海でもなくましてサメでもない、自分自身だったと語っています。判断を誤り、沖に出すぎてしまったことが失敗だったと話しているのです。海やそこに暮らす生き物と共に生きる老人ですが、運や環境のせいにすることなく、自分の失敗は自分のせいとしているのです。

そして、ボロボロの心と身体を引きずって帰ってきたサンチアゴでしたが、すでに次の漁に備えて身体を休めることを考えているのです。彼は作中でも「一回一回が新たな挑戦」と考えている場面があり、大魚を連れて帰ることはできなかったが次回こそはと思って前を向いているのではないかと想像してしまいますね!

これだけ酷い目にあって打ちのめされたにも関わらず、彼は自信の失敗を認めて、再び理想を追い求めて海を漕ぎ出そうとしているのです。彼が立ち上がり続ける限り、どんなに辛いことがあっても、彼が真に負けることはないのでしょうね!そんな彼の姿に、諦めることなく何度でも立ち上がり続ける人間の命の輝きや逞しさを見ることができますね!

まとめ

いかがでしたか?今回はヘミングウェイ先生の「老人と海」についてまとめさせていただきました。

最後まで読んでいただいてありがとうございました!

新潮文庫

光文社文庫

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