こんにちは、きなこぬこです。

今回は日本人なら誰もが知る名作、夏目漱石先生「こゝろ」を読んでの感想と考察をまとめたいと思います。

恥ずかしながら、私今まで読んだことがなかったのですが…非常に読み易いことに感動しました笑

ちなみに今回は角川文庫と手拭い専門店かまわぬとのコラボブックカバーに惹かれて購入しました。可愛くて思わず手に取ってしまうデザインですので、少しずつ集めています笑

ちなみにこの本、最初のページにあらすじが書いてありました。がっつりネタバレされてます笑

「こゝろ」とは

夏目漱石先生の晩年の作品です。学科の教材としてもよく使われているみたいですね。

  • 上 先生と私
  • 中 両親と私
  • 下 先生と遺書

の3篇からなります。

元々は総題を「こゝろ」とした短編集を作る予定だったみたいですが、書き始めたら思いの外長くなり、繋がりのある3篇をまとめて「こゝろ」という一つの長編の作品になったそうです。

上・中は学生である私の第三者の目線から先生を描き出し、下では先生が遺書の中で独白していきます。上・中で散りばめられていた伏線が下で見事に回収されていき、読んでいてとても気持ち良かったです。

あらすじ

鎌倉で海水浴を楽しんでいた東京で学生をしていた私は、先生と出会う。東京に戻った後も東京の先生の自宅を度々訪問するようになる。先生はほとんど外出せず、奥さんとひっそりと暮らしていた。「自分は寂しい人間だ」「恋は罪悪だ」と話す先生は、世間から隔離されて生きていた。ある時、父の病気が増悪したと連絡を受け、私は国へ帰ることとなる。父が危篤になった際、先生の元から分厚い手紙が書留で届く。内容は先生の遺書であった。

以下はネタバレを含みます。

考察

先生の人生観

先生の過去(お嬢さんと出会うまで)

先生は元々幸せな家庭で何不自由なく育ってきた人間でした。しかし、ある時両親が亡くなってしまいます。それを機に、父の兄である、先生から見ると叔父にあたる人物が先生の財産を管理し、面倒を見てくれることになります。

生前、先生の父は叔父のことをとても良く話していました。ですので、当時の純粋で人を疑うことを知らない先生は、叔父に信頼を寄せ、財産の管理の一切を、任せていました。

東京で学生をしていた先生が、休みに国へ帰ると、叔父の家族がとても丁寧に出迎えてくれました。しかし、叔父の娘、先生から見ると従姉妹に当たりますが、との婚約をするよう、叔父に何度も勧められますが先生は断ります。

その次の年に帰省すると、家族の自分への態度が不自然で、先生は不思議に思います。

また、叔父が自分のことを避けているようにも感じます。中学の同級生から、叔父の悪いうわさを聞き、先生が疑問に思い叔父を問い詰めると、叔父が財産を勝手に使っていたことが明らかとなったのです。しかも、従姉妹との結婚を薦めていたのは、財産を使っていたことを誤魔化すためでした。

この信じていた叔父に裏切られた経験から、先生は「多くの善人がいざという場合に悪人になる」ということを知り、周囲の人間に対し嫌悪感を抱き、少しずつ厭世的な人間へと変わっていきます。

しかし、この段階での周囲の人間に対する嫌悪感は、金に関することのみに限られていました。

それが、お嬢さんを巡るKとの出来事によって、変化していきます。この先生の過去を知ると、病床に伏せる父の話をした私に対し、財産の話を再三持ちかけていた先生の気持ちもわかりますね笑

先生とK

先生はKについて紹介する時、このように話しています。

中学でも高等学校でも。Kの方が常に上席を占めていました。私には平生から何をしてもKには及ばないという自覚があったくらいです。

しかし、この物語に登場する際のKは弱り切っていました。

実家に勘当され、困り果てていたKに、同郷の旧友である先生は救いの手を差し伸べ、先生が下宿していた、お嬢さんとその母親が住む家へKを招きます。もちろん、心からの心配もあったとは思いますが、この行動は先生にとって、弱っているKに対して自分が優位に立ち、助けているという優越感を得るためというのが大きかったようです。

その後、館で暮らす中で徐々に活力を取り戻し、以前から自分が気にかけていたお嬢さんと親しくしていたりと、館の生活にKが打ち解けていくことで、先生は焦りを感じます。

弱っていたKが元気を取り戻すことにより先生はKに対して優位に立たなくなったことに加え、館での立場を奪われていくように感じたのです。

この時くらいから先生の心情の描写は、館の生活やお嬢さんの話ではなく、Kの言葉や行動から受けた変化が中心となっていきます。先生は常にKをライバル視して暮らしていました。

そんなある日、先生はKから、Kがお嬢さんに気があることを打ち明けられます。先生はその言葉を聞いて焦り、Kより先に行動してお嬢さんを手に入れようと画策します。

仮病を使ってお嬢さんの母親と2人きりになった時に、お嬢さんとの結婚の約束を取り付けました。

そのことをお嬢さんの母親から聞いて知ったKは、先生に何も伝えることなく、先生の眠る横の寝室で、自ら頸動脈を掻き切って自害してしまいます。

先生は友人を狡猾に騙し抜き、自分の欲するものを手に入れるために手段を選ばず行動し、友人を追い詰めたという自身の犯した罪に気付き、一生その罪を背負って生きていくこととなります。

また、自身も過去に自分を騙した叔父と同じ狡猾さを持っており、悪人であることに気付いてしまいます。金だけではなく、愛によっても善人が悪人と化すことを知り、先生は自分を信じられなくなります。

自分を信じられなくなった先生は、周囲の人も自分と同様に信じることができなくなってしまいます。

先生と明治時代

先生は、明治天皇の崩御後、後を追って自害した乃木大将のことを知り、自身も自害することを決意します。正直なところ、平成生まれの私にとってこの考えはあまり良く理解できません。

先生が言うところの“時勢の違い”というやつかと思います。

罪を背負って生き続けることの辛さと死を選ぶことの辛さ、そのどちらかの選択を迫られた先生は、死を選ぶことの辛さを選んだのでしょうか。

先生と奥さん

奥さんの先生への思い

奥さんは結婚した”お嬢さん”のことですね。先生は妻(さい)と呼んでいます。

作中で私は奥さんのことを以下のように評しています。

  • 誠実なる先生の批評家およひ同情家
  • 旧式の日本の女らしくない

私は奥さんのことを、先生の話を一緒にできる相手であり、自身の意見をしっかり持った、自分の知らないタイプの女性として捉えられているみたいですね。

奥さんは自分が先生から嫌われているのではないかと気にかけています。しかし、先生を問い詰めても「お前に欠点なんてありゃしない」と言い、全く理由がわからず悲しんでいます。

奥さんは先生が自分を嫌っている理由を先生は世間が嫌いであり、その世間には自分も含まれているからと解釈していました。また、先生が厭世的な性格に変化したことを気にかけており、Kとの事件が発端ではないかと思いつつも、確信を持てていませんでした。

実際は先生は奥さんを嫌いなのではなく、奥さんを通じて過去に自害したKを見ていたのでした。

先生から奥さんへの思い

先生は自害を決意した後も奥さんのことをずっと気にかけていました。自分がいなくなった後、妻はどうなるのかと。

また、Kとの間に起こった真実を、奥さんには何も知らせることなく、幸せに過ごしてもらうことを心から願っていました。先生と奥さんの夫婦はとても幸せそうで、お互いをとても大切に思い合っているのに、肝心なところですれ違っており、とてももどかしく感じました。

もっとお互いの思いを、主に先生がですが、伝え合って暮らすことができていたら……と考えずにはいられません。

まとめ

いかがでしたか?とても奥深い作品で、難しいですね笑 今回は夏目漱石先生「こゝろ」についてまとまてみました。

最後までお付き合いいただきありがとうございます!

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