こんにちは、きなこぬこです。
今回は知念実希人先生の「天久鷹央の推理カルテ」を読んだ感想・考察についてまとめていきます。
ずっと気になっていた知念先生の医療ミステリーシリーズ第1作目!
あらすじ
ちょっと変わった症例の他科で診断できなかった患者の診察を行う特殊な部門、統括診断部。若くして高い観察力とベテランにも引けをとらない知識量を持った女医、天久鷹央が、不可解な事件とその裏に潜んだ病を次々を次々と明らかにしていく。
以下はネタバレを含みます。
感想
医療の現場に身を置いてはいるものの、こういう作品好きなんですよね笑
大概は「これはないわ」っていうのを楽しみながらドラマを見たりしているのですが…さすが医師が書いた医療ミステリー!あまり違和感を感じることなく楽しむことができました!笑 また、少ないながらも疾患の知識があるので、自分も病名を予想しながら読みました。
鷹央のかわいらしい外見とさばさばした中身とのギャップも素敵ですね!是非今後もシリーズを応援していきたいと思います。
疾患解説
今回は考察ではなく、作中に登場した疾患を簡単に紹介・解説していこうかなと思います笑基本的には作中でも説明されているので、少し詳しい病態だけ書いていきます。
カルバマゼピンとグレープフルーツの作用については作中で説明されている内容が非常にわかりやすかったので今回は得に解説しないことにします。
ビタミンA過剰症
まず、ビタミンには脂溶性と水溶性の二種類があります。
水溶性は尿と一緒に体の外に排泄されますが、脂溶性は排泄されないため、体にどんどん溜まっていってしまいます。ビタミンAは脂溶性ビタミンで、過剰症が起こりやすいんです!サプリメントやレバーの大量摂取で起こってしまうみたいですね。
普通は目の働きを助けたり、皮膚の状態を保ったり、免疫を保ったりしてくれています。症状は鷹央が説明している通りですが、過剰摂取で作中のような症状が起こるのは知りませんでした!勉強になります!
突発性気胸
肺を覆う胸膜という膜と肺の間の空間のことを胸腔と呼びます。胸腔内は大気圧より低く保たれているため、肺に空気が入り膨らみます。そして、肺自体に伸び縮みする弾力性があるため、空気で膨らんだ肺は自然に縮もうとします。
しかし、何等かの原因で肺に穴が開いてしまうことで、胸腔内と肺が繋がってしまい、気圧の差が生まれなくなってしまいます。加えて、肺には弾力性があるため、穴の開いた風船のようにいくら肺に空気を入れてもうまく膨らむことができなくなってしまいます。この現象を肺の虚脱といいます。
こうして呼吸ができず、息が苦しくなったり胸が痛くなったりしてしまいます。
若いやせ型の男性に多いみたいですよ!
アルコール性肝障害
名前の通り、原因はアルコールの飲みすぎです笑
肝障害とは文字通り肝臓の機能が何らかの原因で低下した状態を言います。アルコール性かそうでないかを分ける条件として三つありますが、その中でもアルコールの摂取量というのが重要になってきます。たくさんアルコールを飲んでいればアルコール性と診断される場合が多いです。また、多くはアルコール依存症と併発しているため、依存症に対する治療も必要になってきます。
作中の彼も典型的なアルコール依存症でしたね……
症状としては、腹痛、発熱、黄疸、嘔吐、下痢、意識障害なんかがみられます。治療は第一に禁酒なのです笑 これがなかなか難しいんですけどね……
腹膜妊娠
私は産婦人科は実習でしかみたことないのですが…
子宮以外のところに受精卵が着床してしまう妊娠のことを異所性妊娠と呼び、妊娠の1~2%で起こります。腹膜での妊娠はこの異所性妊娠の一種です。
胎児は子宮内にいないので、美香のように子宮内を調べても胎児を見つけることはできません。しかし、見逃してしまうと美香のように胎盤がはがれることで大量出血を起こし、ショック状態に陥ってしまうことがあります。
ブルンベルク徴候
腹部を押したときよりも押した手を離した時の方が痛みが強くなる現象のことです。虫垂炎の診断に用いられることで有名ですが、調べてみると異所性妊娠の時も起こるとか。
まとめ
いかがでしたか?今回は知念実希人先生の「天久鷹央の推理カルテ」についてまとめさせていただきました。
疾患への理解が深まることでより物語を楽しむ助けになれば幸いです!
最後まで読んでいただいてありがとうございました!
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